web小説 小説家になろう おすすめ 感想 レビュー ランキング

WEB小説ランキングワールド

『平浦ファミリズム』 感想

 

平浦ファミリズム (ガガガ文庫)

遍柳一 (著), さかもと侑 (イラスト)

 

「それに前から思ってたんだ。俺たち兄弟の中で、姉気が一番、母さんに似てるなって」

 

読む手を止められない不思議な中毒性のある文体に、心に染み込むような静かな感動がある物語

 

家族がいれば、それでよかった。

五年前、ベンチャー企業の社長である母を亡くした平浦一慶。残されたのは、喧嘩っ早いトランスジェンダーの姉、オタクで引き籠りの妹、コミュ障でフリーターの父だった。かく言う一慶も、高校にもろくに通わず、母から受け継いだエンジニアとしての才能を活かし、ひとりアプリ開発に精を出す日々を送っていた。
そんな一慶をなんとか更生させようと、毎日のように電話をかけてくる担任の天野小春や、優等生であるがゆえ嫌々ながら彼にからんでくるクラスメイトの千条真理香。それぞれのエゴを押し付ける周囲に辟易しつつも、親のためにも高校くらいは卒業しようと中途半端に学校に通い続ける一慶。
そんなある日のこと、一慶は、いじめられていた小学生の女の子を偶然救ってあげたことが誤解を生み、児童暴行未遂の嫌疑をかけられ、学校側から退学処分を言い渡されてしまう。家族、教師、クラスメイト、様々な想いが交錯する中、一慶はずっと胸の奥底にひた隠してきた自分自身の心に、もう一度向き合わざるを得なくなる……。
『BLACK LAGOON』の著者・広江礼威氏も絶賛した珠玉の青春小説。

 

八真八 真のおすすめ度・・・★★★★★★★★☆ 8.5/10

 

感想

第11回小学館ライトノベル大賞・ガガガ大賞受賞作、遍柳一先生の『平浦ファミリズム』の感想です。

とりあえずさすが対象受賞作といったところですかね。すごく面白かったです!!

 

この作品、文体がめちゃくちゃ好みです。読んでいて不思議な心地よさがありますね。

すごくクセがあるとか、はっちゃけてるとかとはではなく、まるで遍柳一節とでも言うような、読む手を止められない魅力があります

 

平浦家の家族の絆

ストーリーとしては『平浦ファミリズム』というタイトルそのままに、平浦家のお話です。もっと言うと、主人公である平浦さん家の一慶君の物語です。

 

序盤は主人公を中心としたした平浦家の説明、主人公の日常の生活が淡々と語られていきます。

いや、割とけっこうな出来事が立て続けにに起こってはいるんですが、家族以外には何事にも無関心な主人公が語り部なんでひたすら淡々と進んでいる印象ですね。

じゃあ面白くないのかというと、全くそんなことはない!!

 

序盤はひたすら平浦家の家族の絆と、それに反比例するような異質さ、そして何より主人公の異常さが目に止まります。

とにかくこの平浦家って普通じゃないんですよね。姉はトランスジェンダーのキャバ嬢だし、妹は引きこもり。父親は超天然で2周くらい周りとズレてるし。

でも一番異常なのは、一番普通っぽい主人公という……

この主人公、とにかく家族以外に興味がない。世間一般の当たり前とか、こうあるのが普通という、誰しも持ってる感覚が全く存在しません。

学校での言動というか、その心の在り方はちょっと寒気すら感じるほど一般人離れしています。全てがどうでもいいというか、一切興味を感じていない主人公はほとんど世捨て人か廃人みたいです。ただそういう世間体とかそういう余計な価値観を持たないからこそ、家族に対して何の偏見もなく味方でいられるのかなと。トランスジェンダーに悩んでた頃の姉に何気なく言った一言とかもう、最高です。

 

平浦家の家族の関係についても、世間一般から見たらあきらかにはみ出し者ばっかりの平浦家なんですが、主人公の視点で語られるとこれ以上ないくらい理想的な家族に思えるんですよね。

依存しあってるとかではなく、それが当たり前であるかのように皆が信頼し合ってる感じがすごくいいなと思いました。

マジでこの作者の方、新人とは思えないくらい文章力高いっすよ!

主人公以外の家族も、皆いい人たちで、姉にしろ妹にしろ父親にしろ問題ありまくりなんですが、根っこの部分では人として大事な部分を持ってるのが伝わってきます。

あと要所要所で多大な影響を感じさせる母親の偉大さがすごい。

 

肝心の主人公が家族以外に対しては人として大事な部分無くしてましたが……

 

主人公と周りの人々との絆

肝心の主人公が家族以外に対しては人として大事な部分無くしてると書きましたが、それを取り戻すのがこの作品のもう一つのテーマになっています。

これについては序盤はすごく良かったんですよ。

主人公と一般的な社会との価値観のズレを感じさせる描写を積み重ねていって、主人公の人としての欠陥のようなものを引き立たせる展開、そして家族もそれを危惧しているような描写で読者の心情を煽ってくるのとか素晴らしかったです。

それだけに、最後むりやり解決させたというか、主人公に心変わりさせた感が強かったのが残念でした。ページ的な問題かもですが、もう少し主人公が心の奥では周りの人達を信頼したがってるような描写を積み重ねていくような展開があったらなぁと思ってしまいます。

それでも十分面白かったのでかなり高い要求だとは思いますが……

たった一つの伏線

伏線に関してはこの作品、そこまで伏線と言えるほどの伏線は張ってないんですが、たったひとつだけ僕がめちゃくちゃ好きな張り方した伏線があります。

何かを書いちゃうと伏線の意味がなくなっちゃうので、ここでは伏せますが、

単純に父親の天然ぶりを伝えるための描写としてあまりにさらっと書かれていたあれが最後のカギになるとは、その部分を読んだ時は思いもしなかったです。

やっぱ伏線はそれと分からないように張っておいて、回収の時に読者に感心させるような使い方をしてこそですね。……という伏線厨の戯言です。(えー

 

人としての在り方、人として大切なこととは

この作品読んでてずっと、「人として大切なことってなんですか」って問いかけられているようでした。

例えば、電車で老人に席を譲らない優等生と席を譲るギャル(もしくは不良)だったら、人としてどちらを評価すべきか。

そんなことについて終始考えされるような作品でした。

 

そしてこの作品を読んだ後は変な偏見はやめようと、いろんな人に優しくなろうと素直に思えるような素敵な物語でした。

あと個人的に最後の挿絵が最高です。これぞラノベのちから。

 

 

<個人的名言・名シーン>

「それに前から思ってたんだ。俺たち兄弟の中で、姉気が一番、母さんに似てるなって」

by平浦一慶

 

――その瞬間が来たら――
「迷わず振りぬく!!!」
by平浦一慶

 

 







 

感想 ライトノベル感想    コメント:0

ーインフィニット・デンドログラム-4』 感想

 

『<Infinit Dendorogram>ーインフィニット・デンドログラム-4.フランクリンのゲーム』 (HJ文庫)

 

 

 

八真八 真のおすすめ度・・・★★★★★★★ 8/10

 

WEB小説データベース

 

 

感想

待ちに待った(別に発売が遅れたわけではないです。単純に待ち遠しかっただけ)『インフィニット・デンドログラム』……通称『デンドロ』4巻の感想です。

 

今巻ではついにドライフ皇国の陰謀が動き出し、おそらくは第1章の最終決戦とも言える展開に、プレイヤーの「誇り」や「矜持」をかけた熱いバトルの連続

この作品最大の魅力である圧倒的熱量を感じるストーリーでした!!

 

が、まさかの前後編分冊!?。まさに盛り上がり最高潮でこっからクライマックスってとこでto be continued!!?

それでも十分、いや十二分に面白いです!!

前後編分冊といっても今巻でそれぞれの戦いにはちゃんと決着がついており、残すは最終決戦のみといった感じ。

終わり方も思わせぶりな引きではなく、まさにここしかないというタイミングでで終わっています。

とりあえず前後編なら次巻を待つとか言わずに今すぐ読むべき!!

 

インフィニット・デンドログラムの真骨頂、熱量MAXの<マスター>同士のバトル

前巻の<超級>激突では、純粋に頂上決戦のバトル描写が熱かったですが、今回はまさにこの作品の真骨頂であるプレイヤーの「想い」をかけたバトルが見所です!

今回メインの戦いは主人公パーティの【奏楽王】ベルドルベル VS 【絶影】マリー、【高位操縦士】ユーゴ― VS 【女衒】ルーク、【大教授】ルランクリンの生み出したモンスター<RSK> vs 【聖騎士】レイの3つ。まさに主人公パーティ大活躍の回です。

そして要所要所で挟まれる彼らのリアルでのエピソードがまた読者をがんがん煽ってきます!!

 

個人的に最も好きなのは【奏楽王】ベルドルベル VS 【絶影】マリーの一戦ですね。というか前巻の番外編のエピソードからフランクリンへの一閃、そして【奏楽王】とのバトルと、とにかく僕の中でのマリー株のストップ高が続いています!ぶっちゃけ今デンドロで一押しのキャラかも。

逆にルークの方ですが、相手の裏をかく戦い方はすごく好みなんですが、ルーク本人が達観しすぎてるというか、人間味が薄くて個人的にはイマイチ感情移入できないのが惜しいところ。

レイとフランクリン(とうかフランクリンのモンスター)の戦いについては、戦い以上にその前のレイとフランクリンのやり取りが最高です。というかレイの青くさくも熱い言動が最高です!!

 

話逸れますが、このレイの青さと熱さが誰かを思い出させると思ったら「Fate」の士郎に似てるんだ……やっぱ正義の味方はこうでなくては!

 

 

今回は前後編の前編で、ほぼ一冊通してバトルの連続。ということで、総評というかまとめると、とにかく熱い!!

今巻の感想はこれに尽きると思います。

 

 

なんか次巻予告によると、今回は闘技場の決壊に阻まれてほぼ出番なしだったクマニーサンがいよいよ動き出すらしいです。

ついにあの<超級殺し>をも震撼させた、理不尽なまでに破壊の限りを尽くす暴走っぷりが炸裂するのか?……ちょっと期待です。

 

 

<個人的名言・名シーン>

「――邪魔なのでとっとと死んでください」

「――急くな聴衆。ゆるりと鎮魂歌を聞いていけ」

by マリー & ベルドルベル

 

フラミンゴ﹅﹅﹅﹅﹅、昨日の分も含めて借りを返させてもらうぜ」

「あっはっは、じゃあ私は先週の借りを返すよ。イヌミミ君﹅﹅﹅﹅﹅

by レイ & フランクリン

 

「――俺は、アンタを、ブン殴る。首を洗えよ、<超級スペリオル>」
「やってみろ……初心者ルーキー!」
by レイ & フランクリン

 

 

 

 

 

感想 ライトノベル感想    コメント:0

ラノベ業界を題材にしたライトノベル作品

 

割と近年の作品で、管理人が読んだ事のある作品をまとめて紹介。

 

人気ラブコメ作家が描く管理人的ラノベ業界ラノベの代表作

『エロマンガ先生』伏見つかさ

高校生兼ラノベ作家の俺・和泉マサムネには、引きこもりの妹がいる。 和泉紗霧。 一年前に妹になったあいつは、まったく部屋から出てこない。今日も床をドンドンして、俺に食事を用意させやがる。 こんな関係『兄妹』じゃないぜ。なんとか自発的に部屋から出てきてもらいたい。俺たちは二人きりの『家族』なんだから――。 俺の相棒・担当イラストレーターの『エロマンガ先生』は、すっげーえろい絵を描く頼りになるヤツだ。会ったことないしたぶんキモオタだろうけど、いつも感謝してる! ……のだが、衝撃の事実が俺を襲う。 『エロマンガ先生』は、俺の妹だった!一つ屋根の下でずっと引きこもっている可愛い妹が、あの、えっちなイラストを描いていた!? そして俺達兄妹の関係に、超売れっ子美少女作家のライバルも加わって、大変動が起こる!新たなる兄妹ラブコメディ!

『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』の伏見つかさ先生が描く熱血ラノベ作家もの

2017年4月よりアニメ放送もされているラノベ業界ものの中でも1・2位を争う人気作。

感想としては、ラブコメと仕事の話とのバランスが絶妙で、ライバルとのイラストレーターや書籍化をかけた対決など、各エピソードで山場もしっかりと用意おり、人気作家の期待を裏切らない面白さ。

主人公の執筆への情熱やヒロインのイラストにかける想いなど、スポ根的な燃え要素と、思わずニヤけてしまうようなヒロイン達とのラブコメ展開などの萌え要素が上手くミックスされている印象。

 

 

ラノベ関連まとめ・雑記等    コメント:0

『学園交渉人 法条真誠の華麗なる逆転劇 』 感想

 

学園交渉人 法条真誠の華麗なる逆転劇 (GA文庫)

柚本 悠斗 (著), 米山 舞 (イラスト)

 

謝辞などいらん。金を払え――

 

ひねくれ者の主人公と猪突猛進少女が織り成す、悪と正義の学園ドラマ! 

 

七千人が通い、生徒の自治によって運営される白楊中央学園には華々しい実績の裏に、ある掟が存在した。

それは「校則を破らない」こと。 一見当然のこのルールは学園の特殊性から、法律のような実効力を持っている。そんな学園において唯一、法条真誠という男だけが法外な報酬と引き換えに、校則すらもねじ曲げて依頼人の問題を解決していた。
とある事情で法条に借金をしてしまった少女、花咲華織は彼の助手を務めるうちに、法条の真意と学園の不自然な構造に気づいていく。

ひねくれ者だが有能な主人公と、猪突猛進なヒロインによる、驚愕の学園逆転劇、ここにスタート!

 

八真八 真のおすすめ度・・・★★★★★★★ 7/10

 

感想……の前に

作品の感想の前に一つだけ。

この『学園交渉人 法条真誠の華麗なる逆転劇』は作者の方が印税ぶち込んで色々宣伝したということでかなり話題になりました。

具体的には駅貼り広告したり、新宿アルタ前の大型ビジョンにPV流したりしたらしいです。

 

ラノベ作家さん、印税をすべて使い自腹で秋葉原や新宿、渋谷で自作品の宣伝動画を放映する模様

 

今回の宣伝活動について個人的な是非は置いておいて、CM効果としては大成功だったんじゃないでしょうか。

ぶち込んだ印税取り返せるかどうかはまでは分かりませんが、作品の認知度自体は相当上がったと思います。

ただ、一言言わせてもらうなら、

 

良い子は絶対マネすんな!!

 

いや、悪い子もマネしないで下さい、マジで!!

今回宣伝効果があったと言ったのは、別に大型ビジョンや駅貼りが効果あったんじゃなくて、印税ぶち込んだことが話題になっていろんなサイトやtwitterで取り上げられまくったからです。おそらく純粋な宣伝の効果と、その後いろんなサイトやtwitterで取り上げられたことによる宣伝効果を比較すると1:9では聞かないくらいの差があるんじゃないかと思いますね。

そして同じことをやっても、2回目以降は間違いなくほとんど話題になることなく爆死することになるでしょう。

こういうのは1発目にやって話題になるから意味があるんで、話題になったからマネするというのは愚の骨頂かと。

 

感想

いきなり感想と関係ないことを長々と書いてしましたが、ここからは純粋に作品の内容についてです。

 

内容としては金にド汚い主人公と純粋一直線なヒロインが、生徒に起こった問題の解決を依頼され、あっと驚く方法で解決していく。と言った感じです。

舞台が学園内に限定されてますが、依頼解決型の探偵ものと言った感じですかね。

 

登場人物の掛け合いが面白い

この作品を読んでまず思ったのがとにかくキャラが生き生きとしていてるなと

だから主人公とヒロイン達との掛け合いがめちゃくちゃ面白いです。

構図としてはひたすら主人公をいじりまくる主人公と、ひたすらツッコミまくるヒロインといった感じです。

このヒロインのリアクションとツッコミがかなりいい仕事してますね。

その他の主要人物も皆かなりいいキャラしてます。委員長のチョロさとか。

ただ後半は割と真面目な展開になっていくんですが、正直序盤~中盤のひたすらコミカルなシーンの方がキャラは生き生きしてたような気もします。

生徒会長だけは終始通常運転でしたが。

 

問題解決人 法条真誠

この作品のタイトルは「学園交渉人」ですが、内容としてどっちかっていうと「問題解決人」と言った方がしっくりくる気がします。

別段交渉もしてないですしね。

その問題の解決方法が中々にイカれてて面白いですね。特に1章はなんとなく予想がつきましたが、それでも笑いました……主にヒロインのリアクションに。

ただこれも後半ちょっとトーンダウンしたかなと。なんか徐々にマトモな解決方法になっていった気がします。個人的に1章みたいな頭悪い解決方法が好きというのもありますが。

あと、ラストの事件については、実は全部主人公か生徒会長の手のひらの上なのかなとか全部主人公が見透かして、ヒロインがそう行動するように仕向けたんじゃないかとか思ってたんですが、そういうわけでもなく、かなり肩透かしを食らった感があったのは残念な部分ですね。

 

正義と悪

この作品では何が「正義」で何が「悪」かという問いかけが一番のテーマになってるんですが、こういうテーマ自体が僕の大好物なんですごく良かったです。

また、主人公とヒロインのキャラクターを上手く使って描写しているなとも思いました。

純粋なヒロインは被害者の生徒に共感して味方になろうとするんですが、物事はそう単純ではなく……みたいな展開がいくつかあるんですが、この辺の描写の仕方がホント素晴らしかったです。

 

全体としてストーリーもさることながら、やっぱりキャラすごく魅力的で良かったなと。

不安なのは1巻の引き的に時間以降があるとしたら、今後シリアスに傾倒していきそうな気がするんですが、そこらへんコミカルな部分とのバランスを上手くとっていっていただきたいなと思います。とくにヒロインについては引き続きいじり倒してほしい……

 

 

 

<個人的名言・名シーン>

「始めるぞ」

 いつもより低く落ち着いたその声色に、華織が気を引き締めた瞬間だった――。

「五月女委員長!一昨日この女子生徒から取り上げたBL漫画を返してやって頂きたい!」

「……ええええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

 引き締めたはずの華織の気持ちが砕け散った。

by法条 & 華織

 

 







 

 

感想 ライトノベル感想    コメント:0

『りゅうおうのおしごと!』 6巻 感想

 

りゅうおうのおしごと! 6 (GA文庫)

白鳥 士郎 (著), しらび (イラスト)

 

将棋の神様は、将棋を愛する者に宿る

 

将棋に魂を、人生を懸けた者たちの熱い戦い

 

「重度のロリコンですね。治療法は死ぬしかありません」
竜王防衛を果たし、史上最年少で九段に昇った八一。二人の弟子も
女流棋士になれて順風満帆……と思いきや、新年早々問題発生!?
不眠症や変な夢に悩まされ、初詣で怪しげなおみくじを引き、初JS研
では小学生全員に告白され、弟子の棋士室デビューは大失敗。おまけ
にあいはロリコンを殺す服を着て既成事実を作ろうと迫る。殺す気か!!
そんな中、銀子は奨励会三段になるための大一番を迎えるが――

新キャラも大量に登場! 熱さ急上昇で新章突入の第6巻!!
新時代の将棋の歴史は、ここから始まる。

 

八真八 真のおすすめ度・・・★★★★★★★★☆ 8.5/10

 

感想

祝アニメ化!!

ある程度予想できてましたが、それでもおめでとうございます!

現実の藤井四段の活躍と合わせて、ラノベファン以外にも注目されるようなったらいいなと思います。

ストーリー的には面白さは間違いないですからね!

一般的にはちょっとロリコン成分高めすぎるのがネックかもですが……

 

 

 

そんなこんなで「このライトノベルがすごい! 2017」 で堂々文庫部門1位に輝いた『りゅうおうのおしごと』6巻の感想です。

 

展開としては5巻で主人公、九頭竜八一の竜王位防衛戦が終わり、物語としては一区切りがついた状態での新刊、

前巻が最終巻と言われても納得できるだけの内容と面白さだっただけにどうなるかとな思っていたんですが、予想通り物語としては第2部のスタートといった感じでした。

で、感想を一言でいうなら、今回もまた熱い!!

僕的にこの作品のジャンルはラブコメではなくスポ根もの、まあスポーツではないので正確には熱血将棋界ものと思ってるんですが、

この6巻でもまた、前巻とは違う将棋に魂を注いだ人達の人生を描いた、胸を焦がすような物語に心奪われること必至です!

 

姉弟子 空銀子の物語

前述したように前巻で八一の物語に一区切りがついたということで、それ以外の主要キャラ、今回は主に姉弟子こと空銀子の物語が中心となっています。

印象としては3巻の雰囲気が一番近いかなと思います。

話としては前回が竜王と名人の頂上決戦を描いていたのに対し、今回は一転プロを目指した奨励会での戦いがメインになります。

なんかこの対比がそのまま今の八一と姉弟子の立場を表していて面白いなと感じました。

そしてその姉弟子についてですが、プロ棋士(奨励会含む)の世界で天才達の中でもがき苦しむ凡人の苦悩がこれでもかと描かれていて、読んでいて切なくなるほどです!

境遇として3巻の桂香さんの苦悩と本当に近いものがありますね。

6巻読んだ後に3巻読み直すと、姉弟子のセリフ一つ一つに感情移入してしまってヤバいです。

桂香さんがあいや天衣との才能や将棋を始めた年齢の差に悩んでいたのと同様、姉弟子が周りの将棋星人達との才能と性別の差に追い詰められている様子には胸が締め付けられるような切なさがありました。

それくらい姉弟子の将棋に、八一に懸ける想いが熱いです!!

もうこれ姉弟子が主人公でいいんじゃね?って思えるほどに(えー

 

そして今回、桂香さんのように殻を破れたわけでも、何かに決着が着いたわけでもない姉弟子の物語が今後どうなっていくのか、第2部のメインテーマとして描いていってほしいくらい注目してます。なんとか、将棋の神様には銀子に祝福を与えてほしいと切に願います

 

余談ですが、巻を追う毎に姉弟子がかわいくなっている気がします。前巻で桂香さんに泣きじゃくる姉弟子も最高でしたが、6巻ではマジでかわいさ爆発してます

私服姿の挿絵とかマジ反則。個人的には4巻の釈迦堂さんの服着てる姿より好みです。

 

あと、姉弟子はお茶を入れるのは上手いらしくて「料理は壊滅的なのにお茶入れるのはうまいんだぁ」とか思ったんですが、その理由も地味にぐっときます。

 

師匠として八一が伝える最後の教え、天衣お嬢様の涙

姉弟子の奨励会の話と並行して語られているのが、八一とあい・天衣お嬢様の師弟としてのエピソードです。

正直いうと二人の棋士室デビュー・大盤解説のエピソードなんかは、あいと天衣お嬢様のKYっぷりに、おもしろいというよりちょっとムカムカしました。

すごい真面目なドキュメンタリーやスポーツの番組で、空気読まずにボケようとする新人の芸人見てるような感じに近いかなと。

ただ、それが後半の将棋の神様の話と八一から女流棋士になった二人へ伝える最後の教えへの伏線になっていて、この展開は本当に見事だなと思いました。

というか、第四譜の盤と駒の天衣お嬢様のエピソードはズルいです!!

第5巻で、天衣お嬢様がホントはすごく気の使える一途で優しい子だって知ってるだけに、あの展開であの涙であの挿絵はホント反則

真っ直ぐ素直でいい子に育ってほしい、八一の想いに心の底から共感できます。

そしてこのシーンの八一がこれまでで一番師匠としてかっこよかった気がします。

 

あいの将棋に対する想いについての疑問

まず最初にお断りを。あいちゃん好きの人はこの項目は読み飛ばしてもらうことをお勧めしておきます。割と厳しいこと言ってますので。

でもどうしてもこれは言っておきたいです!

 

この6巻、姉弟子と天衣お嬢様に関する部分だけで言えば、5巻に続いて10点満点を付けたいくらいにおもしろかったのですが……

たった一つだけ不満点が、というか納得いかない部分がある!!

それはあいの将棋に懸ける熱意についてです。

5巻でもちょっと感じてたんですが、この頃あいから1~3巻あたりで見られたような、将棋に対する真摯な姿勢というか、真剣さが伝わってこないんですよね。

なんか完全に八一>>>>将棋って感じに思えてしまいます。

たとえば大盤解説の時も、同じKY発言かましたといえ天衣お嬢様は終始将棋の話をしていたわけです。ただあいに関してはそもそも将棋の話なんて全くしてないわけですよ。はなから玉将と帝位という棋界トップの戦いよりも八一のことにしか興味がないと。読んでいてどうしてもそんな風に感じてしまいました。

その他にも八一以外のプロ棋士と将棋を指すことに興味がなかったり、姉弟子みたいな強くなるためならどんな努力も惜しまないっていう気迫・ハングリーさがいまいち感じられないんですよね。

 

今のあいの状態ってまさに、2巻で八一が危惧していた現状に満足している、幸せを感じてしまっている状態だと思うんですよ。

それどころか将棋が強くなることより、八一に振り向いてもらうことばっかり考えているようにすら感じます。

ホント2巻で天衣お嬢様と戦って自分の未熟さに涙を流してた時の気持ちを思い出してほしいです。

 

「もっと勉強すればよかった……! もっと強い人といっぱい将棋を指してもらえばよかった……! もっといっぱい詰将棋を解けばよかった……! もっともっと、他に何も考えられないくらい、将棋のことを考えなきゃいけなかったのに……!

 

こう思った当時の自分に胸を張って、今も将棋に取り組んでいると言えるのかと。

 

その辺八一も感じての第四譜の盤と駒のエピソードだったんだと思います。

その展開自体は納得ですし、「八一もよく言った!」と思いましたが、ただそれでもまだ温い!!

盤と駒のエピソードも天衣お嬢様のエピソードに比べると背景が弱いですし。

特に今回、姉弟子の想いと覚悟を知った後ではなおさらそう感じてしまいます。

 

ちょっと厳しい意見かなとも思いますが、僕は竜王のおしごとが大好きで、りゅうおうおしごとのキャラは皆好きでありたいと思います。

そしてりゅうおうおしごとで僕が一番キャラ輝いていると感じるのは、壁にぶつかってもがき苦しみながらもそれを乗り越えていく泥臭くて熱い展開です。

ぜひあいには2巻で描かれたようなような試練を、壁を乗り越えていくようなエピソードを期待したいです。

 

<おまけ>限定特装版の付録CD「空銀子☆生誕祭」

えー、ここからは限定特装版付録のドラマCDについての感想です。

内容的には銀子の誕生祝いで、こちら完全なラブコメ回ですね。そしてここでも姉弟子のかわいさが爆発してます

ただ姉弟子はもうちょっといい思いをしても罰は当たらないと思んですが……いや、かわいかったけど。

白鳥先生は姉弟子が嫌いなのか、好きな女の子はいじめたくなってしまうタイプなのか……

 

あとこっちだとまだあいがマトモなのも良かったですね。普通にツッコミ役してたし(えー

あいちゃんは八一の天然ラノベ主人公的な発言や行動に嫉妬してムッとしたり、ツッコんだりしてる方がかわいいと思います。

 

 

 

 

というわけで、笑いあり、涙あり、熱い展開ありと、アニメ化発表後の最新刊にふさわしい1冊だったと思います!

特装版のドラマCDも聞き応え十分ですよ!

ただ、一番泣けたのは本編と関係ない著者のあとがきでしたが……とにかくあのあとがき読んでの一言として、本当にアニメ化おめでとうございます!!

 

 

 

<個人的名言・名シーン>

「将棋の神様は、将棋を愛する者に宿る」

 だから盤や駒を大切にしなさいと。

 だから対局相手に敬意を払いなさいと。

 だからどんな対局でも心を込めて指しなさいと。

 だから……たくさんの人と、いっぱいいっぱい将棋を指しなさい、と

by 九頭竜八一 & 清滝師匠

 

八一に何かしてあげられるわけじゃない。八一に何かを与えてあげることもできない。

日光に当たるだけで壊れてしまうような出来損ないの身体と、将棋盤をくっきり思い浮かべることすらできないポンコツの脳。

それが私の全て。

だから私には将棋しかない

by 空銀子

 

 

 

 

 

 

 

感想 ライトノベル感想    コメント:0

1 2 3 7