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ライトノベルにおける流行ジャンルの変遷について思う

 

最近、特に小説家になろうの書籍化が極端に増え始めてからですかね、けっこうラノベのトレンドというか、流行ジャンルが変わってきたなと思うようになりました。

そうなってくると、昔はああだったとか考え出して、考え出すといろいろと思うことが出てきたので、ちょっと自分の中で整理する意味もかねて、ジャンルの変遷と個人的な意見についてまとめてみました。

 

<80年代後半~90年代前半>

王道の異世界ファンタジー

今回はライトノベルの中のジャンルという以前に、「ライトノベル」という立場が確立されたのをこの年代としております。

これには諸説あると思いますが、ここでは管理人の一存で、角川スニーカー文庫(87年10月創刊)と富士見ファンタジア文庫(88年創刊)

が創設された80年代後半から、『スレイヤーズ』『魔術師オーフェン』などの大ヒットで、ライトノベルというジャンルが認知されるようになったであろうこの時代を最初期としたいと思います。

正直、この年代は僕自身まだラノベを読み始める前、というか超ガキんちょの頃なので、作品も全然詳しくないんですけど、(えー

知ってる作品を見てみると、正統な剣と魔法の世界を舞台とした王道の異世界ファンタジーがメインジャンルだったのかなと思います。

 

 

 

 

<90年代後半~00年代前半>

舞台は現代~近未来の地球へ

90年台の後半からこれまでの異世界ファンタジーに代わり、現代の日本、もしくはそれに限りなく近い架空の日本を舞台にした作品が台頭してきます。

おそらくその先駆けとなったのは『ブギーポップは笑わない』『フルメタルパニック』の大ヒットだと思います。

この2作品のヒットによって、ラノベの主流は完全に異世界から地球を舞台にした作品へと移ったと言えるのかと思います。

 

 

 

現代異能バトルものの隆盛

いわゆるゼロ年代以降、ラノベのメインストリームだったのは間違いなくこの現代異能バトルものだと言えると思います。

このジャンルの特徴は、私たちが暮らす日常と非常に近い世界観の中に、魔法や特殊能力・暗躍する組織とのバトルといった非日常が組み込まれていることです。

また、戦闘と共に主人公をはじめとする主要キャラの、己の内面に大きく踏み込んだストーリー、いわゆるセカイ系の要素を含んだ作品が多かった点も、この時代のバトルものの大きな特徴ではないでしょうか。舞台は異世界から日常へと変わり、悩むべきは世界の行く末からセカイの中の自己の在り方に変わっていったのだと言えるのかなと。

そして魔法は異能力へ変わり、その能力はキャラクターの内面を映す鏡のような存在として描写されるようになりました。

 

 

 

 

ゼロ年台前半を象徴するボーイミーツガールもの、感動系のライトノベル

現代異能バトルと並んでもう一つ、ゼロ年台の人気作には、シリアスというか、ストーリー性を重視した作品も多かったというのも言えるかと思います。『イリヤの空、UFOの夏』に代表されるボーイミーツガールもの、『LAST KISS』なんかに見られる難病ものといったジャンルの作品が高い人気を博しました。

あと、主観ですがこのジャンルの作品には文章や作品全体の雰囲気に透明感のようなものがあったように感じています。総じて物語の美しさが評価された時代だったのかもしれません。

 

 

 

 

ライトノベルにおけるラブコメジャンルの確立

また、この頃からラノベでもラブコメ作品が登場し始めます。

魔法というファンタジー要素を含んだ人気ラブコメ作品『まぶらほ』もこの時代の作品です。

その後、セカイ系の要素も含んだ『涼宮ハルヒの憂鬱』の大ヒットをきっかけとして、ラブコメ作品が注目を浴びていく中で、時代はゼロ年代半ば~後半へと移っていきます。

 

 

 

<00年代半ば~後半>

ラブコメ黄金期 読者のニーズは感動から萌えへ

ゼロ年代前半に恋愛物の主流だったボーイミーツガールものが徐々に影を潜めていくのと反比例するように、

人気のラブコメ作品が次々と登場してくるようになります。

ゼロ年代前半で述べたラブコメ確立期の作品はSFなどの不思議要素を盛り込んだ作品が主でしたが、ラブコメ黄金期とも言えるこの時代はむしろ、そうした不思議要素を排除した、いわゆる普通の日本を舞台とした男女の関係を描いた作品が人気を博しました。

 

 

 

 

シリアス→ラブコメ・萌え要素を含んだ明るい異能バトルもが主流に

ラブコメが黄金期を迎えるのと時を同じくして、異能バトルものについてもゼロ年代前半と比べて、内容に少なからず変化がありました。

それまではセカイ系の作品に代表されるシリアスな作品が多かったのに対し、この時代の現代異能バトルものはヒロインとのラブコメ要素を盛り込んだ、明るいストーリーの作品が数多く見られるようになりました。

また、主人公をメインヒロインと複数のサブヒロインが主人公を取り合う、準ハーレム的な展開が王道となっていったのもこの時代からじゃないかなと思います。

かわいいイラストにツンデレや幼女、幼馴染にクールキャラといった個性的なヒロイン、ストーリーよりキャラクター重視の、いわゆる「萌え」要素というものを盛り込んだ作品が主流になっていきました。

ファンタジー要素を排した王道ラブコメラブコメ要素を盛り込んだ異能バトルものが2大ジャンルとして君臨したゼロ年台半ば~後半は、「萌え」という要素が非常に重要視されるようになった時代と感じられます。

 

 

 

 

<2010年頃~2015年頃>

円熟・安定期に入ったラブコメと異能バトルもの

この時代のライトノベル市場は、ゼロ年代後半からの流れをそのまま踏襲するように、現代を舞台としたラブコメと異能バトルものが安定的な人気を得ていました。キャラクター重視の傾向も同じで、表向きは大きな流行の変化も少ない、全体的に安定した時代だったのではないでしょうか。

しかし、この2つのジャンルに関しては、安定的であるがゆえに『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』『とある魔術の禁書目録』を筆頭とした、2005年頃~2010年頃から続いている超人気長編シリーズの新刊が市場の話題を独占し続ける状況が続いた時代でもありました。

 

 

ソードアートオンラインがもたらした衝撃

ラブコメと異能バトルの2大ジャンルが安定期に入った一方で、2009年、後のライトノベル市場全体に大きな影響をもたらす一石が投じられることとなりました。

ちょうど先日映画化され、圧倒的な人気を誇っている『ソードアートオンライン』の発刊です。

元々は作者の個人サイトに掲載されていた人気のWEB小説だったのですが、作者が『アクセル・ワールド』で電撃文庫からデビューする際、担当編集の英断で、ソードアートオンラインも書籍化されることとなったのです。

VRMMOという新たなジャンル(過去にも扱った作品はありましたが、定着するには至っていないため、新ジャンルとしています)、命の重みを感じさせる高いストーリー性、ラブコメというよりは純愛ものといった雰囲気の恋愛描写。ゼロ年代半ばから続いていたライトノベルの主流とは明らかに異なるジャンルの作品が、たった1作でそれらと同等、あるいはそれ以上の地位を得るに至ったのです。

白状すると、僕はWEB版を読んでこの小説の実力を知っていたので、ソードアートオンラインの1巻が発売された際に、人気作になるかもしれないとは予想していました。しかし予想を上回る盛り上がりに、いずれVRMMOというジャンルが現代異能バトルに代わって、バトルもののメインジャンルになるだろうと確信しました。......残念ながら思いっきり確信ははずれたわけですけど(えー

SAOみたいに純粋なMMORPGを題材としたジャンルは、予想に反して定着しませんでした。ただそれとは別に、後にライトノベル市場に変革をもたらす楔を打ち込んだことは間違いありません

 

 

WEB小説発作品という新たな兆し

ラブコメと異能バトルの項目で述べたように、この時代はメガヒットシリーズの新刊が市場を席巻し続け、よく言えば安定、悪く言えば停滞していた時期だったと言えます。それはライトノベル評論誌の「このライトノベルがすごい」で、『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』『とある魔術の禁書目録』『ソードアートオンライン』の3作品が2011年以降、常に上位にランクインし、トップを独占し続けていたことからも伺い知ることができます。

 

「このライトノベルがすごい」歴代上位作品

年度 1位 2位 3位 4位 5位 6位
2011年 とある魔術の禁書目録 僕は友達が少ない バカとテストと召喚獣 ソードアート・オンライン ベン・トー “文学少女”シリーズ
2012年 ソードアート・オンライン とある魔術の禁書目録 ベン・トー 円環少女 バカとテストと召喚獣 僕は友達が少ない
2013年 ソードアート・オンライン とある魔術の禁書目録 六花の勇者 バカとテストと召喚獣 俺の妹がこんなに可愛いわけがない やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。
2014年 やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン とある魔術の禁書目録 ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか ソードアート・オンライン はたらく魔王さま!
2015年 やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 ソードアート・オンライン ノーゲーム・ノーライフ とある魔術の禁書目録 後宮楽園球場 ハレムリーグ・ベースボール 絶深海のソラリス

 

しかし、表面的には非常に安定していた一方で、今思うと、ゆるやかに、しかし確実に変革の兆しはあったように思います。

それが、『ソードアートオンライン』に端を発した、WEB小説発作品の台頭です。

『ソードアートオンライン』に続いてWEB小説で話題となった作品が次々と書籍化されるようになっていきました。

ただSAO同様電撃文庫から書籍からされた『魔法科高校の劣等生』はジャンルとしては現代異能バトルものですし、SAOもMMORPGという新ジャンルでありながら舞台としては現代(近未来)の日本でした。逆に『まおゆう魔王勇者』はライトノベル最初期を彷彿とさせる異世界ファンタジーものと言えます。

この時代はWEB小説というものが徐々に読者の間に浸透しつつ、その作品の傾向としては試行錯誤されていた過渡期であったように思われます。

 

 

 

<2015年頃~2017年>

小説家になろうから書籍化された「異世界転生」「異世界召喚」ものが爆発的に増加

この時代になると小説投稿サイトの「小説家になろう」から作品が次々と書籍化されるようになります。ちなみに2017年3月20日時点で、小説家になろうの累計ランキング上位100作品のうち、実に94作品が書籍化されており、なろう全体では数百作品に及ぶと思われます。

そしてこの頃になると、2010年頃はあいまいだったWEB小説作品の傾向もはっきりとしてきます。

小説家になろう作品の多くは、ライトノベル最初期を彷彿とさせる中世ヨーロッパをモデルとしたような異世界を舞台としているのですが、小説家になろうの作品では、『Re:ゼロから始める異世界生活』等に代表される、主人公が現代の日本に生活している一般人で、何らかの事情によって異世界に召喚される「異世界召喚」、もしくは『無職転生~異世界いったら本気出す~』等に代表される、死後に前世の記憶を持ったまま異世界の人間として生まれ変わる「異世界転生」という要素を含んだ作品が大多数を占めているのが特徴化と思います。

ちょうど今の作家の方々が、子供の頃にライトノベル最初期の異世界ファンタジーを読んでいた読者の年齢くらいということを考えると、当時抱いていた異世界ファンタジーの世界に行ってみたいという願望を、異世界召喚・異世界転生という形で描いているのかなとも思います。

そして小説家になろう発作品の台頭・隆盛に伴い、ライトノベルの主流が「現代異能バトルもの」から「異世界召喚・異世界転生」へと切り替わっていったのだと感じています。

 

 

 

無双・ハーレム・我が道を行く主人公。小説家になろうに求められるストレスフリー・爽快感

実は上で小説家になろうの代表作として挙げた無職転生とリゼロは、主人公が事故と葛藤しながら成長していく様を描いている、大なり小なり悲劇的な要素を含んでいる等、内容としては小説家になろうの中でも異色の部類に入るのではないかと思います。

小説家になろうの多くの作品は、読者に不満を与えないこと、読んでいて爽快感を与えるような内容になっている傾向が見られます。

ここでいう読者の不満の代表的な点をあげるとすると、

 

・主人公がウジウジ悩む

・ヒロインが他の男性キャラと恋仲、もしくはそれに近い関係になる、いわゆる寝取られ要素

・複数のヒロインがいる場合、贔屓のヒロインが主人公と結ばれない

・主人公が目上のキャラに言い負かされる

 

といった感じではないでしょうか。

そのため、

 

・主人公が初期から限りなく最強に近い状態で、ほとんどの戦闘で相手を圧倒する無双描写が多い

・複数のヒロインがいる場合、比較的早い段階ですべてのヒロインと結ばれるハーレム展開

・他人の意見に左右されず、あまり思い悩まず、我が道を行く主人公

 

といった要素を含む作品が小説家になろうでは多く見られる気がします。

それに伴い、ライトノベルのあらすじや帯でも「チート」「最強」「英雄」といったあおり文が多く見られるようになりました。

こうした「異世界召喚・異世界転生」ものであると同時に「主人公最強」ものであるというのが、近年のライトノベルで多く見られた特徴ではないかと思います。

 

 

 

多様化する異世界召喚・異世界転生もの

異世界召喚・異世界転生の王道といえば、魔法学園、冒険者ギルド、迷宮、闘技大会といった冒険者・バトルものですが、多くの作品が小説家になろうに投稿され、飽和していく中で異世界を舞台としながら様々なジャンルを取り扱った作品が見られるようになりました。

異世界で地球の料理を提供する「料理もの」、現代知識を元に国を運営していく「内政もの」、迷宮を攻略する側ではなく運営する側に回る「ダンジョン運営もの」などが、新たに定着した代表的なジャンルと言えるかと思います。

この他にも様々な題材・設定を扱いながら「異世界召喚・異世界転生」ものは規模を拡大し、近年のラノベ市場に浸透していったと言えるのではないでしょうか。

 

<2017年~>

新たな変革の兆し

2017年、正確には2016年の後半からですがライトノベル市場に新たな兆しが見えてきたように思います。

まずライトノベル評論誌である「このライトノベルがすごい」において、実に7年ぶりに『SAO』『とある魔術~』『俺ガイル』以外の作品が1位に輝きました。今回1位になった『りゅうおうのおしごと』という作品は一見ラブコメっぽい雰囲気で、確かにラブコメでもあるんですが、それ以上師匠と弟子の交流を通して人が成長していく様を描いた感動的な物語でもあると自分は思っています。

 

 

新人賞受賞作に感じるストーリー性・物語性重視への回顧の予感

第21回スニーカー大賞では人間を構成する内面的要素をテーマに扱っており、ゼロ年代前半を彷彿とさせる『まるで人だな、ルーシー 』という作品が優秀賞を受賞しました。

第23回電撃小説大賞で大賞を受賞した『86-エイティシックス-』『君は月夜に光り輝く』は、人種差別と難病という重いテーマを見事に扱い、感動的な物語とエンディングが魅力となっています。

また、その高いストーリー性が読者の間で非常に高評価を得ていた『終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか?』『サクラダリセット』といった作品がアニメ化されるなど、ここにきてストーリー性がこれまで以上に重視される風潮が高まってきているように思われます。

もちろんまだまだラブコメやなろう系の作品も多く出版されており、今後メインジャンルが切り替わっていくという断定はできません。なにしろSAO登場時に今後VRMMOジャンルが主流になるという思いっきり外れた予想をした人間ですから。ただ少なくとも、キャラクター重視の風潮から、ストーリー性も同様に求められる兆候が起きているのは感じられます。

 

 

 

 

 

 

 

 

という感じでこれまでのライトノベルの主要ジャンルの変遷を振り返ってみましたけど、これ数年後とかに思いっきりキャラクター重視の流れが続いてたら、めちゃくちゃ恥ずかしい〆方してしまいました。その時は外聞を気にせず思いっきり修正する予定なんでご了承ください(えー

あと、今回あくまで自分の主観的な解釈に基づいて考察してますんで、そうじゃないだろって思った方も、このサイトの管理人はこういう考えなのかって思う程度でお願いします。登場する作品についても、自分が思いついた作品を挙げてるだけなんで、決してそのジャンルの一番人気の作品とかって意図があるわけではないです。あの作品挙げてほしかったのにって方がいたらすいません。

作品についてでもう一つ、当然これらののジャンルにあてはまらない作品や、当時の主要ジャンルではなかったけども、高い人気を誇った作品もあるかとは思いますが、その辺までは考えるとパンクするんで、今回は僕が思うジャンルにあてはまってるかなって作品で思いついたのを挙げてます。

最期に、今回は敢えてライトノベルに影響を与えたアニメやゲーム等との相関には触れずに、ライトノベルのジャンルの変遷のみ絞って書きました。いや、何か意図があるわけではなく、その辺書こうと思ったら収集つかなくなったんで、今回は頑なに触れずにいこうということしただけなんですけど。すいません、僕の文章力&構成力ではこの辺が限界だっただけです(えー

次にこういう理と述べる全体についての感想というか、昔語りみたいなの書くとしたら、逆に過去のそのあたりがライトノベルへ与えた影響についてとか書いてみたいなとも思います。

......需要あるのかな?これ??

 

考察    コメント:2

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コメントは2件です

  1. mizunotori より:

    >地球からの召喚、転生というギミックを一切使っていない
    BOOKOFFの異世界召喚年表を見ても分かるとおり、召喚ものは昔からかなり多かったんですよ。有名どころでは「日帰りクエスト」や「十二国記」など。転生は少ないですけどね。
    http://www.bookoffonline.co.jp/files/lnovel/pickup/pickup_isekai-history.html
    megyumiさんのコラムも参考になります。
    http://sube4.hatenadiary.jp/entry/Another-World

    • hamaya.shin より:

      >mizunotori様
      なるほど…
      すいません、「十二国記」の存在をすっかり忘れてしまっておりました。
      参考になるサイトまでご紹介いただき、ありがとうございます。
      初期の異世界ファンタジーの年代は私もライトノベルを読み始める以前で、推察の部分が大きいのでありがたいです。
      このあたりは余裕のできたら、見直そうかと思います。

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