『二度目の勇者は復讐の道を嗤い歩む』 おすすめWEB小説(小説家になろう) 感想

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『二度目の勇者は復讐の道を嗤い歩む』 おすすめweb小説 感想

 

 

 

だから、そう、歩くから。
すこしだけ、泣くのを許してほしい。

 

何が悪かったのだろう。勇者として異世界召喚された俺――宇景海人は自問自答する。
助けて欲しいと乞われるがまま、勇者となった俺は魔王を倒し、この世界を救ったのだが……。
もう用済みとばかりにパーティー全員から裏切られ、世界の敵に仕立て上げられて俺は追われる身となった。
苦楽を共にし、仲間だと思っていた奴らに無実の罪をなすりつけられ、ついには殺されたのだ。
死ぬ間際、俺は救いを願うより、こいつらを苦しめて苦しめて、殺してやろうと呪った。
――やがて気が付くと、俺は異世界召喚されたあの時に舞い戻っていた。裏切り者に殺された記憶を携えて。
王女を、魔術師を、聖女を、騎士を、商人を、王様を……コイツら必ず皆殺しにしてやる!
最も残酷な方法で、ひとかけらの救いもない苦痛と悲鳴の血の底で溺死させてやる!!
俺は復讐心を共有してくれる獣人少女と共に旅立った!
異世界リベンジ勇者ファンタジー!「――――さぁ、復讐の始まりだ」

 

八真八 真の満足度・・・★★★★★★★★ 8/10

 

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感想

この『二度目の勇者は復讐の道を嗤い歩む』は王道と邪道の良いとこ取りした、邪道作品といったところでしょうか(えー

ジャンルとしてはなろうの王道ど真ん中とも言える異世界召喚もの。しかも魔王を討つ勇者として王女様に召還され、共に魔王を討つ仲間は聖女に戦士、武道家や魔術師等といったテンプレ満載な主人公なわけですが、

物語はそんな主人公が魔王を倒して世界に平和をもたらした後、仲間に裏切られ、今まさに死ぬ寸前から始まります(えー

正直、ほのぼのとかまったりとかいったなろうの王道とは真逆の作風で、

好きになるか嫌いになるかは大きく分かれるかと思います。

ぶっちゃけ万人にはおすすめしずらい作品ですね。

ただ、読者に対して大きなインパクトを与えてくれる作品であることは間違いないかと思います。

異世界召喚というなろうの王道でありながら、なかなか見ないハードでエグい物語というのが、

この『二度目の勇者は復讐の道を嗤い歩む』の印象です。

(C)大場つぐみ・小畑健/ 集英社

 

ほのぼのもいいけど、たまにはきっつい展開のあるハードな作品も読みたい、そう思っている方はぜひ一度読んでみてもらいたいと思います。

 

心を抉るストーリー

主人公のカイトは魔王を討った後、仲間の裏切りによって殺されたカイトは神様の力によって記憶を残したまま召喚された日へタイムリープします。

それは神様に授かった、たった一度のみのやり直しなわけですが、カイトは1週目で自身を裏切ったかっての仲間に復讐を誓うというのが大まかなストーリーになります。

この復讐を題材にした小説自体は割と見かけるようになりましたが、ここまで読者の心を抉ってくる作品は他にないのではないでしょうか。

ストーリーの要所で1週目の回想がはさまれるのですが、そこでの主人公の報われなさと絶望的状況っぷりがヤバイ。正直ここまでのエグい内容には度肝を抜かれました。なにがエグイって、かっての仲間の裏切り方がすごいです。最悪のタイミングで最悪以上の事実を突きつけられる。その度に主人公は後悔し絶望し心をひき裂かれます

 

ただそれらの鬱展開って回想シーンでありあくまで"1回目"で起こったことなんですね。それは物語上の時間軸である"2回目"ではなかったことになってるわけです。リゼロなんかでも同じことが言えると思いますが、最終的にハッピーエンドで終われる可能性を残しているから、途中の鬱展開にも耐えれるのかなと。ただ『二度目の勇者は復讐の道を嗤い歩む』はその描写が突き抜けてますね。

あまりにもかっての仲間の裏切りっぷりがエゲツないです。

 

でも逆に復讐相手の外道っぷりがすさまじいほど、これから彼らへは凄惨な復讐が待っているんだと期待させてられてしまう、そのあたりの書き方が上手いと思いました。

 

主人公やヒロインへのヘイト管理が見事

【主人公】カイト

運命に翻弄され、良くも悪くも頭のネジがねじれてしまった勇者(えー

物語の始まる前、1周目の時のカイトはお人よしの典型的な勇者気質で、ぶっちゃけキャラとしてははるかに主人公っぽいです。それが世界中から裏切られるような圧倒的な絶望を味わい、自身の価値観を大きく変えることになります。いや、タイトルどおり嗤いながら復讐相手を拷問する様は控えめに言ってもヤバい人でしょ!(えー

ただそれ以上に復讐相手に嫌悪感をいだかせ、読者を主人公に共感させる著者の実力はすごいと思います。

 

【ヒロイン】レティシア、ミナリス、シュリア

メインヒロインはレティシアになるのか、ミナリスになるのかは置いておいて、個人的にはレティシアのヒロイン力が半端ないです。回想にしか登場していないのに、すでに本妻感というかその他ヒロインから見たラスボス感が圧倒的です。

 

ミナリスとシュリアは復讐の共犯者になるわけですが、普段はともかく主人公同様復讐に関してはかなり狂気に満ちています。嗤いながら拷問かけるヒロインってヤバイですね。

ただ普段は主人公に対してデレ全開なのと、イラストがかわいいのとで、良くも悪くもギャップが尋常じゃないヒロイン達になってますね。

 

【勇者の元パーティ】

これだけ主人公やヒロインが復讐心に支配され、控えめに言っても狂気に満ちていてなお、彼らに共感できるのは復讐相手である勝手の仲間たちがラノベ史上でも類をみないほどの外道っぷりのおかげといっていいでしょう。特に初っ端の王女の、回想シーンにおける下衆さのインパクトは強烈で、2章が小物に感じちゃうほどでした。というのも彼女らが主人公を裏切った理由なんですが、

 

王女:生理的嫌悪感。召喚された人間を同じ人種と見ていない。

ユーミス:勇者を生贄に最高の魔道具を作り出し、石碑に名を刻まれることで、メイドのソーリィとの仲を認めてもらう

 

2章のユーミスは一応主人公を裏切った目的があるんですね。主人公を殺して得るものがあるから裏切ったと。それにたいして王女は特に目的無く裏切ってるんですよ。単なる生理的に無理って理由で。もはや人間が人間が黒くて素早いあいつらを殺すのと同じ理由ですよ。もうホント何?あの外道っぷり。

ただ、彼女らは嫌われ者として読者のヘイトを一身に背負うことで、主人公の復讐劇に読者を共感させるという大切な役割を持っているわけです。

客観的に見ると、主人公の復讐の仕方もたいがいなんですが、それをよしと思えるのは、それほどまでに彼女たちが読者に不快感を与えるキャラとして描かれているおかげかと思います。

 

その報われない役割、俺だけは認めてやろう

(C)島本和彦 / 小学館

読者の心を揺さぶる圧倒的文章力

汚い、穢らわしい、気持ちが悪い、吐き気がする。
改めて周りを見回せばどいつもこいつもそんな人間ばかりだった。
笑顔を浮かべて裏切り、ニヤニヤ笑って善意を踏みつけ、哄笑混じりに毒を盛る。

 

もう冒頭の段落1つとっても、通常の小説家になろうと線を隔す文章力が伺えます。

確かにけっこうくせのある文体ではあるので、好みは分かれるかもしれませんが、その文章力・表現力は圧倒的と言えるかと思いますね。

というか個人的には独特の言い回しがむちゃくちゃ好みです。

 

レティシアに関する描写でも

注文の多い少女だった。
嘘つきで、怖がりで、臆病で、強がりで、意地っ張りで。
カラカラとよく笑うくせに泣き虫で。
傲岸不遜な態度で我儘を言うくせにこちらの気持ちに敏感で。
憎たらしいほど強引に、モノクロで作られた書き割りのようだったこの異世界に色を塗った少女。

 

もうこの文章だけで意味無く泣きそうになります。現段階(109話)ではまだレティシアの過去についてはほぼ語られてないのですが、この文章読んだだけで、彼女が何かしらを重い運命を背負っているんだということが伺えます。何の説明にもなっていないのに伏線になっているというか、一言一言が主人公に感情移入させていくんですよね

僕は復讐ものというのは読者に感情移入させることができなければ、失敗だと思っています。主人公に対して不快な感情を持ってしまうからです。

上にあげたようにこの著者の文章はそれがすごく上手くて、主人公が裏切られたときの感情や心の痛みがダイレクトにこちらの心に響いてくるように感じます。

 

ぜひ主人公と共にその境遇に絶望し、復讐い歓喜する道を味わっていただきたいと思います。

 

 

<個人的名言・名シーン>

こんな時でも思い出すのは、魔王と呼ばれた少女の言葉。
『妾にできることなら、いくらでも、何でもしてやる。それこそ、世界の半分だってくれてやる。だから、なぁ、妾のそばに来てくれ、お願いだ』
俺は、その震える手を取れなかった。
断られるとわかっていただろうに。俺がその手を取らないと思っていただろうに。

(カイト&レティシア)

 

「今度は、絶対に俺から言いに行くよ。『ああ、魔王よ、世界の半分をやるから、俺と復讐をしよう』って」
何の復讐なのかさえ、二度目の彼女は知らない。知らせるつもりもない。全て俺が終わらせるのだ。

だから、それは拒絶されて当たり前の言葉。

伝わらなくて、断られるとわかっていても。
それでもあの時の彼女は、俺にそう告げたのだから。
必ずお前に、告げに行く。

(カイト)

 

 

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