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<アニメ化&映画記念>サクラダリセット 感想

 

 

 

「ー猫を助けて、犬を助けて、できるなら人を助けて。

 

 そんなことをしていきましょう、これからは」

 

「リセット」たった一言。それだけで、世界は、三日分死ぬ──。能力者が集う街、咲良田。見聞きしたことを絶対に忘れない能力を持つ高校生・浅井ケイ。世界を三日巻き戻す能力・リセットを持つ少女・春埼美空。ふたりが力を合わせれば、過去をやり直し、現在を変えることができる。しかし二年前にリセットが原因で、ひとりの少女が命を落としていた。

時間を巻き戻し、人々の悲しみを取り除くふたりの奉仕活動は、少女への贖罪なのか?不可思議が日常となった能力者の街・咲良田に生きる少年と少女の優しい物語。

 

八真八 真の総合評価・・・★★★★★★★ 10/10

感想

『すかすか』に続くアニメ放映記念第2弾ということで『サクラダリセット』の感想です

それにしてもこのシリーズ、最終巻が出たのが2012年。まさか完結から5年たったこのタイミングでアニメ化されるとは思ってもみませんでした。当時の僕のサクラダリセットに対する感想としては、"すごく高い評価を受けるだろうけども、メジャーになるのは難しいだろうな"というものでした。

ちょっと古い例えですが、SAOとかのライトノベルの王道人気作がとサクラダリセットの立ち位置って映画の『タイタニック』と『グッド・ウィル・ハンティング』みたいなんですよね。

『タイタニック』は1998年に公開されるや、世界中で社会現象を起こし、アカデミー賞では14部門でノミネート、うち11部門で受賞しており、この年のアカデミー賞の主要部門はほぼタイタニックの独壇場ともいえるほどの化け物的人気を博した作品なんですが、実はこの年のアカデミー賞で脚本賞を受賞したのが『グッド・ウィル・ハンティング』なんです。この作品は男の友情を描いた作品なんですが、大きな事件が起こるわけでも派手な映像で見せるわけでもなく、あんまり映画見ない人の中には知らない人も結構いるくらいなんですが、とにかくストーリーが素晴らしくて、映画好きの人たちの中でもかなり評価の作品なんです。

『サクラダリセット』も同じで、派手なバトルやスピーディな展開で魅せる作品ではない代わりに、綿密に織り込まれたストーリーの美しさと作品を包み込むやさしい雰囲気がこの作品の魅力となってるんですね。だから読んだ人には素晴らしいと思ってもらえるだろうけど、どうしてもバトルモノとかラブコメものとかと、比べるとエンターティメントとしては地味な印象になっちゃうので、その辺がラノベファンからしたらどうなのかなと。

だから当時のぼくの心情としては

「もったいないなサクラダリセット」「俺にとってはこんなにも面白いのに」

「おれだけは認めてやろう」「ちゃんと大事に保管しておくからな」

って感じだったんですね。

僕としては本当に良い作品なので、もっと人気出て多くの人に知ってもらいたいなと思っていたわけです。そういった意味では今回のアニメ化は本当に待望だったと言えますね

 

作品全体を取り巻く空気感と読後の余韻

綿密に計算された咲良田町と能力の設定だったり、美しいストーリー構成だったり、この作品の素晴らしい所はいっぱいありますが、この作品の一番の特徴は?と言われたら、僕は独特の"空気感"だと答えると思います。作品全体がライトノベル作品の中でも一種独特の、どこか叙情的な空気感をかもし出しているんですよね。その空気感こそが『サクラダリセット』を『サクラダリセット』たらしめている一番の特徴じゃないかなと。

その原因はどこか淡々としたケイと春埼の会話だったり、透明感を感じさせる文章にあると思います。

なんていうか会話も文章も不思議な言い回しがあるというか、ライトノベルより一般小説読んでるような文体なんですよね。ちょっと村上春樹の言い回しに似てるなとも思いました。

もちろん村上春樹ほど個性的な比喩表現をしたりするわけではないですけどね。

 

正式な依頼だし―とは続けない。もしかしたらこれは正式な依頼ではないのかもしれない。

 

っていう文章があるんですが、

この「もしかしたら~かもしれない」「あるいは~かもしれない」って表現は作中にけっこう登場するんですが、村上春樹も結構こういうどっちつかずの表現多いんですよね。しかもどっちでも物語には何ら影響しないという...

あとは、

 

猫は、室内にいるのなら、少なくともこの雨に濡れることはないだろう

 

っていうちょっと詩的な表現だったりが、なんとなく似てるなと。

ただ読後に幸せな気持ちになるとことか、ちゃんと伏線回収するとことかも考えると、むしろ伊坂幸太郎に近いのか?

ただ逆にこういうちょっと叙情的な文章ってラノベではほとんどみないですね。

だからこの作品の持つ空気感が独特に感じるのかもしれません。

あと村上春樹の雰囲気以外に、PCゲームの『AIR』とか『kanon』(どちらもkeyの作品)が持つ郷愁めいた雰囲気にも似てるなと感じました。

ただあちらは歌詞のような文章のリズムと音楽の相乗効果でそういう空気感を出してるのに対して、こちらは文章でそれを表現しているのは素直にすごいなと思います。とにかくこの空気感が読んでてすごく心地よく、また読後に何とも言えない余韻を残してくれています

 

美しい言葉で綴られる美しい文章、美しい物語

綺麗な言葉で会話をしよう

汚いものは、全部どこかに押し込んで。

 

これは1巻で非通知くんという情報屋(のような人)が主人公の浅井ケイと初めて会話したときに言うセリフです。

この非通知くんというのは超ド級の潔癖症で、このセリフはそんな彼のキャラクターをよく表しているのですが、

それ以上にこの美しいセリフは作品をよく表しているなと思います。

この作品自体が終始、すごく澄んだ美しい言葉で語られているように感じます。

汚いセリフが使われていた記憶が全くありません。あるいはどこかで使われていたりするかもしれないですが、印象に全く残らないなら、同じことだと思います。

物語は優しく、時間はゆっくりと流れていき、幸せな結末に向かって物語は収束していきます。

何とも言えない幸せな気持ちを感じることができるこの読後感は唯一無二であると言いたいですね。

 

サブタイトルのセンス

えっ?そこっ!?と思うことなかれ。なにしろ僕が初めてこの作品を読んだのは1巻の

『CAT,GHOST and RECORUTION SUNDAY』というサブタイトルに魅かれたからなのです。

ちなみ各巻のサブタイトルは

 

1巻『CAT,GHOST and RECORUTION SUNDAY』(猫と幽霊と日曜日の革命)

2巻『WITCH, PICTURE and RED EYE GIRL』(魔女と思い出と赤い目をした女の子)

3巻『MEMORY in CHILDREN』(機械仕掛けの選択)

4巻『GOODBYE is not EASY WORD to SAY』(さよならがまだ喉につかえていた)

5巻『ONE HAND EDEN』(片手の楽園)

6巻『BOY, GIRL and --』(少年と少女と)

7巻『BOY, GIRL and the STORY of SAGRADA』(少年と少女と正しさを巡る物語 )

 

となってます。( )内は角川文庫版のサブタイトルとなっています。

まずどちらも、読んだ際の響きがとにかくかっこいいということ(えー

いや、これは単なる好みなんですが、最近のラノベは直接的なタイトルが多いですがこういう意味深めいたサブタイトルの方がかっこいいと思うんですよね。若干の厨二心をくすぶられる感じです。

ふたつめに、これってサブタイトル単体だと意味不明なんですが、その巻を読んでみると、めちゃくちゃ端的に内容を表してるんですよね。意味深めいてるけど意味不明で、ちゃんと意味のある、そんなサブタイトルの意味について考えながら読んでみても面白いと思いますよ。

あと単純にこのサブタイトルがかっこいいと思った僕と同志の方は中身のセリフや言葉選びのセンスについても太鼓判を押しておきます。

 

小説としての圧倒的完成度

1巻発売から完結までの約3年間で全7巻。一切の無駄が無く、一切の不足も無い。綿密に練りこまれたストーリー展開と伏線。ほんとプロットとか見てみたいくらい完璧な構成だと思います。

特に圧巻なのは1巻の構成ですね。ストーリー全体の導入部分という役割も担い、今後の伏線を含みつつ、それ単巻としても物語が完成してるんですよね。極論、たとえ1巻でサクラダリセットが終わっていたとしても僕は手放しですばらしい作品だったと褒め称えていたと思います。

それくらいこの小説のストーリーは、全てが考え込まれていて美しいと感じるものでした。

今から7冊も読むのはなぁと思ってる方は、まず1巻だけでも読んでみてください。それ単巻でも一つの映画にできるくらい、物語が完成されています。

 

あと、上でもちらっと触れてますが、このサクラダリセットは元々角川スニーカー文庫から出版されているんですが、2016年に角川文庫からも一般小説として発売されいます。

正直カバーイラストはスニーカー文庫版よりこっちの方が好みですね!(えー

じゃあ角川文庫版をお勧めするかといわれると、角川文庫版には口絵や挿絵がないので、難しいところですね。

サクラダリセットって挿絵の使い方も独特で好きなんで、それを見てほしい思いもあります。

 

こんな感じで、文章と同じページの端に挿入される挿絵がたまにあるんですが、これが文章と一体となった感じで心に響いてくるんですよね。

(もちろん普通に1ページまるまる使った挿絵もありますよ)

挿絵が演出としてすごく機能していると思います。

ぶっちゃけ迷ったら両方買えといいたい!(えー

実際私はスニーカー文庫版も角川文庫版も両方買ってます。。。

 

 

角川スニーカー文庫
角川文庫

 





 

 

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