『始まりの魔法使い』 おすすめライトノベル(ラノベ) 感想

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『始まりの魔法使い 名前の時代』 感想

 

 

「ニーナ。魔法学校を作ろう」

 

「もっともっと大きく、もっともっと偉大な学校を」

 

圧倒的かつ壮大なスケールで紡がれる竜と魔法の年代記クロニクル

 

かつて神話の時代に、ひとりの魔術師がいました。彼は、“先生”と呼ばれ、言葉と文化を伝え、魔法を教えました。そんな彼を人々はこう呼びました。―始まりの魔法使い、と。そんな大層な存在ではないのだが―「だから火を吹かないで!」「ごめんごめん。私にとってはただの息だからさ」竜として転生した“私”は、エルフの少女・ニナとともに、この世界の魔法の理を解き明かすべく、魔法学校を建てることにした。そこで“私”は、初めての人間の生徒・アイと運命の出会いを果たした―。これは、永き時を生きる竜の魔法使いが、魔術や、国や、歴史を創りあげる、ファンタジークロニクル。

 

管理人のおすすめ度・・・★★★★★★★★ 9/10

 

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感想

第1回 カクヨムWeb小説コンテスト受賞作、石之宮カント先生の『始まりの魔法使い 名前の時代』の感想です。

毎度のことながら多少のネタバレは含んでますのでご注意を。

 

この作品、とにかく世界観が壮大で、物語への没入感が圧倒的!!

その物語は原初の英雄の叙事詩のようであり、神話のようでもあり、壮大な物語の長い長い序章プロローグのようでもあります。

読み終わった後の感動と満足感、次に語られるであろう今後の歴史についての期待感、一つの物語としてもシリーズものの1巻としても、素晴らしいの一言に尽きます!

まさに純粋なファンタジーの神髄を感じたと言える作品ですね!!

 

 

壮大なスケールで描かれる人類と魔法の歴史、その始まりの物語

物語の第0話、この巻のプロローグは竜歴6050年、「始まりの魔法使い」の伝説を追ったドキュメンタリー番組を主人公(おそらく)と彼の生徒達?やらが見ているシーンから始まります。

この竜歴6050年、エルフや魔法が当たり前のように存在してるファンタジー世界ではありますが、TVやビデオなど、文明レベルは現代日本をほぼ同等という感じ。

で、そんな第0話から、本編のスタートは一気に竜歴0年に遡ります。

この作品は前述したように、主人公が異世界の竜に転生した竜歴0年から本編が始まり、後に「始まりの魔法使い」と言われる主人公に関わる出来事を、時代に沿って描いていく【年代記】の形式をとっているのですが、実はこの第0話、カクヨミに掲載されているWeb版にはない、書籍版の書き下ろしになっています。

ただ第0話があることによって、物語から感じる壮大さが段違いに大きく感じられます。

正直、この第0話から本編の導入、初めての生徒であるアイとの出会いまでを読んだ時と、1巻を読み終わった後にもう一度第0話を読んだ時は鳥肌が立つほどでしたね!!

 

本編についてはその初めての生徒であるアイとの関係を中心に、主人公が人と関り、魔法を通じて人の暮らしを変えていく様子が描かれていくわけですが、本編だけでも10数年、主人公の誕生からだと20年以上、エピローグも入れると50年以上にわたる物語が描かれています。

 

この作品は、世界に魔法を広めた主人公の「始まりの魔法使い」としての物語なわけです。

ただ、もちろん魔法そのものは、重要なキーアイテムであるとはいえ、あくまで物語を進めるうえでの一つの道具に過ぎないと感じました。

この作品の主題はの時を生きる主人公を通じた人類の歴史、現実世界で科学と共に進歩していった人の文明を、科学を魔法に置き換えた形で描いていくことじゃないかなと。そして主人公がその歴史の変遷にどのように携わり、人類の進歩に影響を与えたかを描いていく物語であると感じました。

 

ちなみに1巻開始時点における人々の生活は縄文時代~せいぜい古代並みで、文明と呼べるほのものはなく、国ではなく集落と呼べる程度のものが点在しており、また、集落によってはまともな言葉も存在しないようなレベルです。

そこに主人公が日本語を広め、葬儀などの文化を教え、文明をつくっていく。この描き方は非常に興味深かったですね。

ファンタジー作品では言葉だけは普通に通じるという設定はよくありますが、この作品では逆に、言葉さえないところに主人公が、ゼロから全てを広めていくわけです。だから第0話の未来において、当たり前のように日本語で話し、洗濯機やネギと言う言葉が存在し、通貨単位は「円」なんだなと。

そんなところからもいかに主人公が人類の成り立ち・歴史において重要な役割を果たしてきたのだということが伺い知ることができ、細かい設定まで物語に深みを持たせるよう、非常に練られているなと言う印象を受けます。

なんというか、読めば読むほど、細かいところに気づけば気づくほど、その世界観に圧倒されるような感覚でした

 

あと個人的にですが、もう一人のヒロイン、悠久の時を生きる主人公のパートナーのような存在として描かれているエルフのニナ(ニーナ)と、主人公の関係がすごくツボでした。

1巻作中では二人の関係性は「ほとんど」変わらないわけですが、そんな中でも少しずつニナの心情の変化が感じられ、ここでも第0話でちゃっかりと主人公の隣の席を確保しているニナの描写から、今後も続く長い長い物語における二人の関係を予感させられます。

 

 

一人の女性の生涯を描いた人生記でもあり、長い長いプロローグでもある第1巻

最後に、この1巻は、主人公の初めての生徒であるアイの物語でもあります。主人公と出会い、魔法を憶え、文化的な生活を知り、幸せを手に入れる彼女の人生が余すところ無く描かれています。いわば文庫本1冊の中に彼女の人生が凝縮されているのです。

だからだと思うのですが、たった1冊にもかかわらず、読み終わった際にはまるで長期連載作品が大円団を迎えたかのような感慨が込み上げてきます。

それぐらい、1冊の中での物語の完成度とスケール感がずば抜けて高かったと言いたいです!!

それと同時に、この1巻は「始まりの魔法使い」である主人公の伝説を描いた、壮大な物語の、とても長いプロローグでもあります。

この物語のラストは、主人公が本当の意味で魔法の学校を作ろうと決意するシーンで終わっているのですが、前述した感慨共に、第0話と合わせてこれから主人公が学校と言う舞台を通じて紡いでいく新たな物語を予感せずにはいられませんでした。

だからこそ、ここで再度言わせていただきたいと思います・・・・・・

この作品は他に類を見ないほど、圧倒的かつ壮大な世界感で描かれる一大叙事詩であると!!

 

 

名前の時代

最後にこの巻の副題である「名前の時代」について。

この巻で主人公が「この世界の魔法は名前でできている」ということを発見し、初めて魔法が魔法として誕生したわけです。

(それまで魔法は、生まれつき使える人だけがもった一種の才能・能力のようなものでした)

つまり魔法の歴史はここから始まったわけですが、この時代(巻)の魔法は全て「名前」によって成り立っています。

その他にも作中で度々「名前」というものが重要なキーワードとして登場してきます。

だからこその「名前の時代」という副題なんだと思います。

ただこれって、冒頭第0話の竜歴6050年で使われている、この時代の名称なんじゃないかなと。

私たちにとっての「弥生時代」や「古墳時代」と同じような感覚で、まだ名前だけが魔法の全てだった、魔法の始まりの時代のことを、

現代?では「名前の時代」と名付けているんじゃないだろうかという考えがふと思い浮かんだので、最後に余談みたいな感じで記載させていただきました。

 

<個人的名言・名シーン>

確かにテレビで語られる『始まりの魔法使い』はとても立派で、間違うことも失敗することもない、神様のような存在だ。

実際はそんなでなかったことを、わたしは良く知っている。

けれど、その苦労もまた、わたしたちは良く知っていた。

(???)

 

嬉しいのに、喜ばしいのに、胸の奥がぎゅっとして、息が上手くできない。

こんな気持ちにも、名前はあるのだろうか?

あいつなら、もしかしたら知ってるかもしれないけれど。

物知りな竜に尋ねるのは、もっとずっと後でいい。

(ニーナ)

 

「ニーナ。魔法学校を作ろう」

「もっともっと大きく、もっともっと偉大な学校を」

「この世界の誰もが知るような、そんな素晴らしい学校を、作るんだ」

(せんせい)

 

 

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