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<電撃大賞受賞作>君は月夜に光り輝く 感想

 

 

私の、渡良瀬まみずの、本当の、最後のお願いを、岡田卓也君に言います。

聞いてください

 

大切な人の死から、どこかなげやりに生きてる僕。高校生になった僕のクラスには、「発光病」で入院したままの少女がいた。月の光を浴びると体が淡く光ることからそう呼ばれ、死期が近づくとその光は強くなるらしい。彼女の名前は、渡良瀬まみず。余命わずかな彼女に、死ぬまでにしたいことがあると知り…「それ、僕に手伝わせてくれないかな?」「本当に?」この約束から、止まっていた僕の時間が再び動きはじめた。今を生きるすべての人に届けたい最高のラブストーリー。

 

八真八 真の総合評価・・・★★★★★★★★★ 9/10

感想

物語を読んだり、見たりするのが好きな人は少なからず心を揺さぶられた作品というものがあると思います。

これは単純に面白いとか好きといった感情とはまったく別次元というか、種類が違う感情なんですよね。

心を締め付けられるというか、抉られる感覚が近いかなと。

で、まちがいなくこの作品は心を揺さぶられる作品であると思います。

僕は個人的に「泣ける」っていう表現は簡単に使うべき言葉じゃないので、あまり好きじゃないんですが、あえて「泣ける」作品であると言いたいですね。

 

00年代を彷彿とさせるボーイ・ミーツ・ガールもの

物語は主人公の岡田卓也がヒロインの渡良瀬まみずが入院している病院へ見舞いに行き、二人が出会うところから始まります。

その後主人公が入院中のまみずの代わりに「死ぬまでにしたいこと」を実行して、それをまみずに伝えるという行為を繰り返しながら二人の心は次第に縮まっていき・・・という感じで物語は進んでいきます。

この作品を読んで(冷静になってから)思ったのは、ラノベっぽくないなと。正確にいうと今のラノベっぽくない

男女の恋愛の話というと、今主流なのはラブコメ要素が強い作品かなと思うんです。

人気作でいうと、俺ガイルや冴えカノ、俺妹とかがそうですね。

それに対してこの作品は決してラブコメではない。あえてジャンルをつけるならボーイミーツガールものって感じですね。

それはどちらかというと00年代の恋愛ものやストーリー性の高い作品を思い出させるジャンルかなと思います。

『イリヤの空、UFOの夏』『半分の月がのぼる空』なんかがまさにそれですね。

そしてそれは冒頭で述べた「心揺さぶられる」っていうフレーズとも深く繋がっていくんですよね。

 

(C)秋山瑞人/ メディアワークス

<イリヤの空、UFOの夏>4冊完結という決して長くない作品ながら、読者に強烈な印象を残した

これまた00年代を彷彿とさせる泣きゲーとの相似点

泣ける物語・ラノベというとどんな作品を想像しますか?

最近だと『終末なにしてますか?シリーズ』、少し前だと『とある飛行士の追憶』なんかがあると思います。

ただ現代の日本を舞台にした作品で感動的な物語として圧倒的に多いのはボーイミーツガールものが多かったのと同じ00年代だと思うんですよね。

上でもあげた『イリヤの空、UFOの夏』『半分の月がのぼる空』。あと個人的にラノベの中で最も切ない物語だと思っている『LAST KISS』なんかが代表作じゃないかなと思います。

ここからは個人的な意見なんですが、この00年代に感動系のラノベが多かったのはPCゲームからの影響が強くあるんじゃないかなと思います。

この頃って98年発売の『ONE 〜輝く季節へ〜』(Tactics)から始まり、『kanon』『AIR』『CLANNAD』(共にkey)等へと続く、いわゆる「泣きゲー」の黄金期だったんですよね。何しろ『AIR』のマスターアップ時には号外が配られ、初回版発売日には行列ができるほどの人気だったのですから。

key作品以外にも『家族計画』『CROSS†CHANNEL』『銀色』『水夏』などあげだしたらキリがないほど、感動的な物語を主としたPCゲームがあふれていたのが00年代の特に前半だったわけです。

正直言って、僕が「泣ける」というフレーズを軽々しく使いたくないのも、これらの作品への思い入れが強すぎて、簡単に同列の作品みたいな表現をしたくないという感傷的な理由なんですよね。

なぜここで過去のラノベやゲームの話をするかというと、これらの作品と『君は月夜に光り輝く』がとても似ていると感じたからです。

それは物語の内容もこの頃に近いというのもあるんですが、それ以上に作品全体の結末を予感させる雰囲気とか、読後の喪失感とかいったものに、

上にあげた作品と同じような印象を感じたわけです。

楽しいやり取りの中にもどこかつきまとう不安だったり、終盤での圧倒的に魂を揺さぶられるようなセリフ回しだったりがこちらの琴線にモロに触れてくんですよね。

だからこそ、冒頭で僕はあえて「泣ける」作品であると言ったわけです。

まあ、実際泣いたからってのが一番の理由ですが(えー

 

(C)key/ VisualArt's

<kanon/AIR>当時を知る人はこのシーンだけで泣けてくる人も多いのでは。

高い文章力、丁寧に描かれた卓也とまみずの関係

この作品、物語の進行は非常にゆったりと進んでいくんですが、その分卓也のまみずの距離感というか、やり取りが非常に丁寧に、考えて描かれているなという印象でした。

例えばまみずに靴をプレゼントするシーン、この前のシーンでまみずに靴のサイズを聞く描写があるんですが、まず最初に胸のサイズを聞くやりとりがあるわけです。実はこのさらに前に友人の香山から冗談でまみずの3サイズを聞いてくれよと言われるやりとりがあって、最初このシーン読んだ時はその伏線の回収だと思っていたんですが、靴をプレゼントするシーンの伏線にもなっていたんですね。こんな感じでいろんな伏線が絡み合ってどんどん読者を卓也とまみずのやり取りに没入させていく、その描き方が非常にきれいで上手だなと感じました。

あと、文章力自体も新人の方とは思えないくらい高いと思います。

なんていうかラノベと一般小説の中間のような文章ですね。

多分普段ラノベ中心に読んでる人には一般小説っぽい、逆に一般小説読んでる人にはラノベっぽいと感じるかもしれません。

クセは少ないですし、きれいな文章で一文もそんな長くなく、分かりやすい表現なので、普段ラノベを読まないような人、というか普段あまり本を読まない人にも、ぜひ読んでもらいたい作品だなと思いました。

 

結末について

結末については何を話しても圧倒的なネタバレになるので一言だけ。

渡良瀬まみずは間違いなく幸せだった。ならこれは疑いようもなく、幸せな物語である。

もちろんどう感じるかは読者の自由だと思います。これはあくまで僕の意見ということで。

 

<個人的名言・名シーン>

カッコつけてんじゃねぇよ。

でもカッコいいと素直に思った。

(岡田卓也)

 

私は、これから先、生きたらどうなるのか、知りたいです

(渡良瀬まみず)

 

私のかわりに生きて、教えてください。

(渡良瀬まみず)

 

 

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