『かりゆしブルー・ブルー』 おすすめライトノベル(ラノベ) 感想

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『かりゆしブルー・ブルー 空と神様の八月』 感想

 

『かりゆしブルー・ブルー 空と神様の八月』 (角川スニーカー文庫)

 カミツキレイニー (著), 白狼 (イラスト)

 

 

……だとしたら、僕の失った物語は、君を救うことができたのだろうか。

 

 

現代の日本を舞台にした、ちょっと不思議で、ちょっと切くて、どこか懐かしい青春ファンタジー

 

悪童〈ヤナワラバー〉が切り結ぶ、神様とのちょっと不思議な“縁”の話。

「人間の上でもなく、下でもなく。私たちのすぐそばにいるもの。それが沖縄の神々さ」
怪異を祓うため神々の住む島・白結木島を訪れた春秋の前に現れたのは、地元の少女、空。天真爛漫で島想い、どこまでもフリーダムな彼女に呆れる春秋だったが、空は神様との縁を切ることで怪異を祓う“花人”の後継者――春秋が島を訪れた理由そのものだった。未熟ながらも、島の人々とともに怪異解決に挑む少年少女の、沖縄青春ファンタジー!

★イラストシリーズ『蒼囲空』×カミツキレイニーの沖縄タッグが贈る、青春活劇!

 

八真八 真のおすすめ度・・・★★★★★★★★☆ 8.5/10

 

感想

この作品、普通のライトノベルと違って、イラストレーター白狼さんのイラストシリーズ「蒼囲空」にカミツキレイニーさんがストーリーをつけるという、一風変わった企画から生まれた物語となっています。

とはいっても、最初に企画ものと思ってナメて読み始めたことを土下座して謝りたいくらい面白い話でした!!

 

 

沖縄情緒あふれる作品の雰囲気

作品の舞台は沖縄のとある離島なんですが、読んでいて沖縄感?というのがすごく伝わってきます。

現代の日本が舞台なんですけど、異国感というか別世界感というか、なんとなく夏休みに田舎のおばあちゃん家にいったような雰囲気がこの作品にはあるなぁと思いました。

沖縄には数回しか行ったことがない僕ですら、沖縄の人々の気質とか生活とか、沖縄の離島ってこんな感じだよねって勝手に納得させられてしまう説得力がこの作品にはある気がします。

あとは海や空の青さ、太陽の日差しとか南国っぽい空気のにおいとか……作品を読んでいるとそこまで読者に伝わってくる気がして、これほど作品の舞台をリアルに感じされる表現力はすごいなと思いました。

余談ですが、けっこうライトノベルでこういう雰囲気の作品てあまり思い浮かばないですけど、PCゲームの『AIR』なんかに近いのかなと感じました。

(別に『AIR』は沖縄が舞台じゃないですが、夏の田舎の雰囲気みたいなのが)

さらにこれまた余談ですが、この作品の序盤は沖縄グルメ的な描写が頻繁に登用するんですが、飯テロ並に力の入った描写されてます。えぇ、この作品読んだ後ソーキそば喰いましたとも!!

ただ主人公はいなり寿司しか食べれないから、喰ったあとすぐ吐いちゃうんですけどね(えー

 

コメディとシリアスのバランス、物語の展開が見事

この作品、物語としては「起承転結」に沿ってしっかりと構成されているといった感じで、読んでて分かりやすいし、序盤のコミカルな展開から「転」部分からのシリアスなストーリーへの切替は見事という他ないですね!!

物語の導入部分を簡単に説明すると、いなり寿司以外の食べ物を口にできなくなる呪いにかかった主人公が、沖縄の花人はなんちゅという霊媒師に呪いを解いてもらうため、白結木島という沖縄の離島を訪れるところから始まります。ユタの弟子で花人見習いである空と出会い……って感じなんですが、序盤はコメディタッチのノリに軽快な文章とテンポで、グイグイ物語へ引っ張りこんできます。

物語の冒頭なんて、いきなり我慢しきれずソーキそばを喰った主人公がゲロるシーンから始まりますからね。(えー

その後なんやかんやあって主人公は空の花人の仕事を手伝うわけですが、この部分も宙の相棒の流威奈(♀)が股間に頭突き喰らったりと、コメディタッチで笑える感じに描かれています。

そこから一転、とある出来事がスイッチとなって物語が一気に動き出すわけですが、ここから急激にシリアスモードに突入していきます。ただ「起」「承」部分にしっかりと伏線が張られているおかげで、急激な切替に置いていかれることなく、すんなりと物語に没入することができました。この辺り、物語の完成度が高いなぁと感心させられますね!

そしてそこからの展開、空が花人をしている理由を語るシーン、そのあとの春秋が祟られた理由である犯した罪と過去についての独白、そしてそこから終盤までのたたみかけるようなストーリーは文句なしに素晴らしかったです!!

 

ちょっと切なくも爽やかな読後感

この物語の結末はほんのり切なさを含みつつも、爽やかな読後感を与えてくれます。それはおそらく登場人物たち、主人公の春秋やヒロインの空の心情がエンディングで晴れ晴れとしたものだったからだと思います。そして彼らがそうした心情に至ったのは序盤での島の人達や神様のと騒がしくてお祭りみたいな楽しい日々の思い出があったからなのかなと思ったり。

もうひとつ、ラストで主人公が空に、彼が思い至った「花人の資格」について語るんですが、このシーンもまた爽やかな読後感を後押ししている一つかなと。個人的には空の苦悩を笑い飛ばすような起死回生の結論だと思いますし、この作品の中でたまらなく好きな描写のひとつですね

 

イラストと物語と

ちょっと蛇足的な感想。

前述したとおり、この作品は白狼さんのイラストありきで作られた物語です。ようはヒロインの空のイラストが最初に合って、彼女のイラストに合わせて物語が作られたわけですが、僕が著者のカミツキレイニーさんすごいなぁ~と思ったのは、白狼さんがサイトで公開しているイラストでは体操服着てる割合が多いんですが、それを上手いこと物語の伏線に落とし込んでるんですよね。最初普通に白銀さんが体操服着たイラスト書いてるから、作中でも体操服着せてるんだと思ってしまいました。終盤で種明かしされた時は素直に感心しました。

 

→白銀さんのHP『白銀島

 

 

 

<個人的名言・名シーン>

「遊びなさい。たくさんたくさん楽しみなさい。自分の心の向くままにね」

(オバー)

 

―――『いいよ。どこにいる?』

それは花火を観に行こうとと言った、僕の最後のわがままに対する返信だった。

(春秋)

 

「春秋さんは人を好きになったんだ。傷つけるほど。傷つくほど。大切な物語だったんだ」

(空)

 

……だとしたら、僕の失った物語は、君を救うことができたのだろうか。

(春秋)

 

 

 

 

 

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