『86―エイティシックス― 2巻』 おすすめライトノベル(ラノベ) 感想

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『86―エイティシックス―Ep.2 ―』 感想

 

86―エイティシックス―Ep.2 ―ラン・スルー・ザ・バトルフロント―〈上〉 (電撃文庫)

安里 アサト (著), I-IV (デザイン), しらび (イラスト)

 

 

まだ全員、覚えている。今も彼らは共に在る。

連れていくと――戦い抜いたその果てまで、連れていくと約束した。

 

戦いの中でしか生き方を見いだせない死神たちの、誇り高くも哀しい物語

 

 

共和国の指揮官・レーナとの非業の別れの後、隣国ギアーデ連邦へとたどり着いたシンたち〈エイティシックス〉の面々は、ギアーデ連邦軍に保護され、一時の平穏を得る。
だが──彼らは戦場に戻ることを選んだ。連邦軍に志願し、再び地獄の最前線へと立った彼らは、『隣国からやってきた戦闘狂』と陰で囁かれながらも、シンの“能力”によって予見された〈レギオン〉の大攻勢に向けて戦い続ける。そしてその傍らには、彼らよりさらに若い、年端もいかぬ少女であり、新たな仲間である「フレデリカ・ローゼンフォルト」の姿もあった。
少年たちは、そして幼き少女はなぜ戦うのか。そして迫りくる〈レギオン〉の脅威を退ける術とは、果たして──?
シンとレーナの別れから、奇跡の邂逅へと至るまでの物語を描く、〈ギアーデ連邦編〉前編!
“──死神は、居るべき場所へと呼ばれる”

 

八真八 真のおすすめ度・・・★★★★★★★ 8/10

 

1巻感想はこちら →86―エイティシックス―』感想

 

感想

第23回電撃小説大賞≪大賞≫を受賞した『86―エイティシックス―』、その第2巻である『86―エイティシックス―Ep.2 ―ラン・スルー・ザ・バトルフロント―〈上〉』の感想です。

そう、上巻です! ということでこの巻のエピローグとしては思いっきり次巻に続く的な感じのいいところで終わってます。(えー

戦闘的にも物語的にも1巻のような衝撃なや山場があるわけではないです。どちらかというと激動の1巻に対して、物語としては静かに進んでいく感じです。

が、それでもなお面白い!!

 

とりあえず1巻読んで面白かったという人は間違いなく読んでほしいです。

1巻と同様、でもある意味1巻とは全く違う視点で描かれたとも言える、エイティシックスの生き様を感じていただきたい!!

 

圧倒的な内面描写で描かれる登場人物たちの想い

僕が『86―エイティシックス―』で一番すごいと感じたのは、登場人物たちの気持ちがもろに心に響いてくるような、まさに圧倒的ともいえる内面描写です

前述したように特に山場があるわけでも、血が滾るような展開があったわけでもないのに、それでもこの巻を読んで、「やっぱこの作品は面白れぇな」と感じたのは、間違いなく登場人物の内面描写があまりにも秀逸だったからだと思います。

特にギアーデ連邦で穏やかな日々を過ごすエイティシックス達が感じる"ここが居場所じゃない”という感情、再び戦場へ戻ることへの決心、描写自体は比較的淡々とした雰囲気なんですが、それが無性に胸を締め付けてきます

特に戦場へ戻ることをギアーデ連邦の(暫定)大統領に告げるシーンのシンのセリフ、1巻を読んだ方にとってはこれ以上ない説得力だったのではないかと思います。

ええ、このシーン僕はちょっと泣きました……

 

1巻との対比、平和の中でのエイティシックスの異常性と気高くも哀しき在り方。

2巻を読んで感じたのが、エイティシックス達(正確には旧スピアヘッド部隊の面々ですが)について、1巻と対比して描かれているなということです。

1巻では僕を含めて多くの読者の方が、サンマグノリア共和国の異常性、白系種アルバのクズさの中での、エイティシックスの気高さを感じたことかと思います。

2巻では逆に、ギアーデ連邦というまともな国家、人々の中で、エイティシックスの異常性が浮き彫りにされているのが印象的でした。

とにかくこの対比が抜群に素晴らしいです!!

 

さらに言うと、1巻ではエイティシックスについて絶死の戦場での戦いを共用された奴隷のような立場でありながら、彼らは決して共和国に強要されたから戦っているのではない、戦場が居場所だから、戦うことが存在理由だからこそ自らの意志で戦っているのだと、心は決して縛られていないのだと訴えていたように感じます。

一方で2巻では、自由に人生を選択できる立場であったとしても、結局は戦場に戻ることを選ぶわけです。それが彼らの存在理由であり、戦場こそが彼らの居場所であるが故に。

正直このシーンを読んだ時は彼らの変わらぬ在り方に胸が熱くなったのですが、2巻を読み終えた後に改めて考えてみると、どこか一抹の哀しみを感じる選択でもあるなと。

あるいは「エイティシックス」としての生き方に囚われているのではないかと。

多分この後のストーリーとエルンストやフレデリカの心情がそういう気持ちにさせるんだと思うんですが、この辺りの描写や展開がホント上手いなと思います。

あっ、ちなみにエルンストとフレデリカって誰やねん!って方は本文読んで下さい(えー

 

いわば、1巻は哀しくも気高き存在として彼らを描いていたのに対し、2巻では気高くも哀しい存在として彼らを描写しているように感じました。

同じでありながらも違う、この対比の仕方は本当に凄いなと、賞賛に値すると思います。

 

本当の意味での物語の始まり

あらすじにもある通り、この物語は1巻における最終決戦とエピローグの間の物語です。

最初『86―エイティシックス―』の続巻の発売を知った時は、1巻エンディング、シンとレーナの再会後の物語が描かれるのかなと思ってました。だから正直あらすじを読んだときは、割と番外編的な位置づけなのかなとも思っていたんですが……甘い!蜜のように甘かった!!

 

むしろ2巻を読んだ後では、シン達がギアーデ連邦にたどり着いてからが『86―エイティシックス―』という物語の本当の始まりのようにすら感じてしまいます

もちろん1巻単独で読んだとしたら、それは間違いなく『86―エイティシックス―』として完璧な物語なんですが、不思議なことに2巻と合わせて読むと、読む前はエピローグの補完だと思っていた2巻からが本編で、1巻がプロローグだったように思えてきます。この文章力というか、物語の構成力は恐ろしいとすら感じますね。

 

で、この2巻を読んで思ったんですが、この『86―エイティシックス―』って多分今後人類とレギオンの戦いを描いていくことになると思うんですが、それと同時に彼ら「エイティシックス」が生きる意味を探す物語でもあるんじゃないかなとも感じました。

それがやっぱり戦いなのか、それとも戦場以外の居場所を見つけるのかは分かりませんが、彼らが戦い抜いた先に何を想うのか。それがこの物語の大きなテーマなんじゃないかなと思います。

 

だから下巻を早く!!

 

最後に一つだけ、いや、二つだけ不満を。

まずシン達の搭乗機についてですが、僕の好みとしてはレギンスレイブよりジャガーノートの方が無骨なデザインで好きでした。なぜあんな洗練された流線形になってしまったのか……

2つ目はマジどうでもいいと思われるかもですが、頭イラストのレーナのガーターベルトが見切れているのは何故だ!!(えー

 

 

<個人的名言・名シーン>

楽しいけれど。でも、やっぱりこの暮らしは、自分達にとってはひとときの夢だ。

夢はいずれ、醒めるものだ。

by クレナ

 

「もういいのか」

「うん。見なきゃいけないものは、全部見たと思う」

「帰ろう。あたし達のいるべきところに」

by シン & クレナ

 

おれ達はただ、運が良かっただけです」

「たまたま助けられただけなのに、それをいいことにこのまま足を止めていたら、戦い抜いて死んだあいつらに顔向けができない。まだおれたちは死んでいない。……まだ、戦い抜いたわけじゃない」

 まだ全員、覚えている。今も彼らは共に在る。

 連れていくと――戦い抜いたその果てまで、連れていくと約束した。

by シン

 

「それに、……先に行きますとか言っておいて、もし追いつかれたりしたら恰好悪いよな」

by ライデン

 

 

 

 

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