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『ウォーター&ビスケットのテーマ 1 コンビニを巡る戦争 』 感想

 

ウォーター&ビスケットのテーマ1 コンビニを巡る戦争 (角川スニーカー文庫)

河野 裕 (著), 河端 ジュン一 (著), 椎名 優 (イラスト)

 

 

ゲームに勝つためには、

ルールに精通しなければならない。

しかし、世界と戦うためには、

ルールの向こう側に辿り着かなければならない

 

どうしようもない臆病者の、生き抜くための命を懸けた戦い

 

「ヒーローになるつもりですか?」「違う。僕はお姫様になりたい」闘うより、護られたい―臆病であることを誇る高校生・香屋歩と幼なじみの秋穂栞が迷い込んだのは、8月がループする街“架見崎”だった。ここを訪れた人々は任意の特殊能力を与えられ、乏しい物資を巡る戦争を繰り広げていた。だが、ふたりが希望した能力は戦闘の役に立たないもので…。生存戦略に反則はない。ルールブックの穴をつく、臆病者の戦いが始まる。

 

八真八 真のおすすめ度・・・★★★★★★★★☆ 8.5/10

 

 

感想

僕の大好きな『サクラダリセット』の河野 裕先生の新作と聞いてそれはもう、楽しみにしていた作品です。

さらにタイトルとあらすじがの僕好み過ぎて……新作としては、読む前から過去最高に期待していた作品でもあります。

そしてその上がりまくった期待にばっちり答えてくれました!!

 

いやあもうっ、設定から世界観、文章にストーリー展開から主人公の能力とキャラクターと、とにかくほんと素晴らしい!!

あいも変わらず僕好みの作品を書いてくれるなぁと感謝の念がとまんないですよ。

 

唯一無二の舞台設定と世界観

大まかなストーリーはあらすじの通りなんですが、ループものという印象は弱いですね。8月がループするという設定は怪我や破壊されたモノや消費された物資が元通りになるという設定のためのギミックでしかないという印象です。むしろストーリーとしては、戦争をメインイベントとしたリアル戦略シミュレーションゲームの様相を強く感じました。実際に作中で何度もゲーム的っていう表現使われてますしね。の設定がまた素晴らしい

 

まず架見崎という町についてですが、作中で架見崎というのは存在しない架空の町、しかも滅んだ世界の町となっております。滅んだと言っても外敵などがいるわけではないのでゴーストタウンという意味合いが強いですが。ただ滅んですぐのため、様々な物資は町のいたるところに残っている(EX.コンビニの弁当等)。その物資を奪い合うためにこの世界では様々ルールが設けられています。

例えばプレイヤーは何らかのチームに所属し、チームごと領土が存在する。そしてその領土の中でしか能力は使えない。つまり安全に物資を補給するためには、それがありそうな施設(コンビニやスーパー等)のある領域を領土する必要があるわけです。そしてそのために戦争をしているわけですが、この戦争も宣戦布告や戦争後の休息時間をはじめとし、様々なルールが(システムによって)管理されています。もう一つ特徴的なのが通貨的な役割を果たしているポイントシステムです。このポイントを使ってプレイヤーは能力を強化したり、新たな特殊能力を取得できるわけですが、これだけだと他の作品でもありそうな設定だと思います。面白いのがポイントの譲渡が可能なため、交渉にもこのポイントが大きくかかわってくるわけです。さらにプレイヤーを殺して得られるポイントはそのプレイヤーのポイントの半分なため、殺すより半分以上のポイントをもらって見逃した方が得だという。この辺りがすごくゲーム的であると同時にめちゃくちゃ考えられてるなと思いました。

 

常識外のさらに外側をいくような主人公の特殊能力と思惑

この作品の核はプレイヤー同士の領土奪い合う戦争に間違いないのですが、物語を単純なプレイヤー同士の戦争という枠で納めないのが、この作品の最高に面白いところですね。

というか主人公の特殊能力からして、単純な戦いを書くつもりなんてさらさらないであろうことは伺えますが……

この特殊能力についてですが、簡単に説明するとポイントというものを使って取得・強化する能力で、

 

強化<700P>

射撃<700P>

検索<500P>

補助<300P~>

道具<300P~>

その他<?>

 

の6種類の能力が取得できます。(<>内は取得に必要なポイント)

「その他」というのはオリジナルの能力で、自分で自由に考えた能力を取得できます(取得ポイントは能力に応じて設定され、既に誰かが取得してる「その他」の能力やその類似の能力は取得できない)

ちなみに新たに架見崎に来た人間は初期値1000Pを使って自分で能力を選ぶ仕様になっています。

 

作中でこの説明を読んだ時に、大抵の読者の方は自分だったらどんな能力を取得するか妄想するんじゃないでしょか。

ええ、僕はしましたとも!!

そして大抵の読者の方は何かうまい特殊能力を考えようとするんじゃないでしょうか?

例えば「検索」というのは戦争相手の位置やポイント、能力なんかの情報を得る能力なんですが、その情報を偽装する能力とか、

ポイントを使って能力を取得・強化できるのは8月31日から8月1日にループする時だけなんですが、それがいつでも行える能力とか、

相手の能力を盗んだり、コピーする能力とか。

食料、あるいは道具(拳銃とか)を創造する能力とか。

 

この辺りが割と皆が1回は考えそうな能力脳ような気がします。

ただ取得に必要なポイントはかなりフェアに設定されるので、あからさまなチート的能力は膨大なポイントが必要なので、1000Pで万能な能力は取得できないわけです。

それを抜きにしても考えた能力というのは、いかに戦争もしくは架見崎で生き抜くうえで有効な能力かだったと思います。

常識外の能力を考え付いたとしても、大体は設定されたルールを逆手にとったり、ルールにないグレイゾーンを攻めるような能力ではないでしょうか

ただ主人公の考えた能力というのはそういうルールを逆手に取るとかいった、常識外の能力からさらに外れた能力だったわけです!

なんせマジで戦闘では何の役にも立たない能力なわけです。工夫すれば最強とかそういうこともなく、そもそも戦闘中は使えない、というか自分の領土と戦争中の相手の領土でしか使えないはずの能力がそのどちらでさえも使うことが能力という……

正直この能力を聞かされた時は主人公、というか作者の思惑に圧倒されましたよ。

グレイゾーンがどうとか以前に、そんな能力ありなのっ?っていうか、それって能力なの!?ってっ感じですよ!!

そしてその能力の使い方がまた最高にクール!!

 

 

見事なストーリー構成と驚きのエンディング

ストーリー構成は相も変わらず素晴らしいの一言。

プロローグから序盤での世界観の設定、中盤と終盤での山場の持っていき方と細やかな伏線。何よりそのバランスがすばらしくて、400P弱というけっこうな文章量なのに、だれることなく一気に読み切れました。虫及んでいる最中は続き、というか主人公の思惑が気になってしょうがないといった感じで読む手が止められなかったです。

正直発売が週末で助かったと思ってます。

 

ただ、エンディングについては完全に予想外でした。トーマの秘密についてはさておき、まさか完全に次巻へ続く的な引きで終わるとは……。

いや、既にめちゃくちゃこの続きがきになって2巻が早く読みたくてしょうがなくなってるんで、作者の狙いとしては大成功なんですが、

……正直1巻で一応のオチはきっちりつけてほしかったというのが本音です。

これは新作においては単巻完結としてもある程度成立させてほしいという僕のこだわりがあるからなんですが、特に『サクラダリセット』がこの点において最高だっただけに、てっきりこの作品もそうなると思ってたので、完全に不意打ちでした。

個人的な評価で言うと、ただこの一点だけがどうしても惜しいと思ってしまいました。

ということで、とにかく早く2巻を!!

 

河野節とも言える独特のリズムでの会話や文章

世界観も主人公のキャラクターも『サクラダリセット』とは全然違うんですが、読んでると不思議と同じような雰囲気を感じます。

それは間違いなく、会話や文章における河野先生の独特のリズムによるものだと思います。

これは僕の好みによるものかもしれませんが、読んでていてとにかく会話や文章が心地いい。

主人公がトーマを呼び出す時のセリフとかもう最高ですよ!!

この文章があるからこその世界観とストーリーの魅力がさらに引き立っているんだと思います。

 

とにかく『サクラダリセット』が好きだった人は読んでみて損はないでしょう。

 

 

どうでもいいけど、あとがきで述べられてる通りほぼコンビニを巡る戦争なんてしてないので、この点についてはタイトル詐欺ですね……(えー

 

 

 

個人的名言・名シーン

生き抜くことにだけは、命を懸けてもいい

by ウォーター

 

「臆病なのは僕の誇りだ」

by 香屋歩

 

いつもなにかに怯えている彼は、堂々と怯えられる環境に、むしろ安心するように思える。だからこういう、命がけの戦いなんてものは、きっと彼の独壇場だ

by 秋穂栞

 

――彼はなんと答えるだろう?

いくつかのパターンを想像する。でもどれでもないひとつを、香屋は口にする

「DVDプレイヤーのリモコンを預かっている。渡してほしければ、言う通りにしろ」

by トーマ & 香屋歩

 

 

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