『たったひとつの冴えた殺りかた』 おすすめライトノベル(ラノベ) 感想

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『たったひとつの冴えた殺りかた』 感想

 

『たったひとつの冴えた殺りかた』 (HJ文庫)

三条ツバメ (著), 赤井てら (イラスト)

 

 

お前ら、人質ごっこの次は戦争ごっこをやらないか?

 

最強にクールでイカれた主人公が織り成すハードボイルド異能バトル!

 

異能力が売買され、個人が圧倒的な戦闘力を持つ時代。強力な異能が高額で取引されるなか、代金の支払いを滞納する者を追うための「債権回収機構」が組織されることになった。機構の凄腕エージェントであり、情け容赦無さで名高いノーマンはマフィアが支配する町バリオスにて高ランクの異能の滞納者の情報を得る。早速、相棒でありボスであるアイビスと共に異能回収に向かったノーマンだが、待ち受けていたのはマフィアの抗争だった。圧倒的なパワーで無慈悲に敵をなぎ倒す異能バトルアクション登場!

 

八真八 真のおすすめ度・・・★★★★★★★ 7.5/10

 

 

感想

第10回HJ文庫大賞「銀賞」受賞作、三条ツバメが描く『たったひとつの冴えた殺りかた』の感想です。

こちらの作品、タイトルのセンスが気に入っ発売前から割と注目してた作品の一つです。

そのタイトルですが、ジェイムズ・ティプトリー・Jr.の名作SF小説『たったひとつの冴えたやりかた』のもじりですね。

ぶっちゃけ内容的には元ネタと全然関係ないですが……。

あと主人公の殺り方が冴えてるかと言われれば、むしろランボー並に大暴れしてるイメージですが……

ただ僕は、内容なんてあらすじを読めばいいからタイトルは語感とか響きがかっこよければいいと思ってるんで、そういう意味でこの作品のタイトルはけっこうツボでした。

どうでもいいけど、GOOGLEで検索する時、「たったひとつの冴えた殺」で検索するとちゃんとこの作品がヒットするのに「たったひとつの冴えた殺りかた」で検索すると元ネタのジェイムズ・ティプトリー・Jr.の作品ばっかり上位にきます……解せぬ。

 

肝心の内容の方ですが、とにかくハード!!

全編通してバトルの連続で、登場人物もほぼ男性(しかも大体おっさん!)。

人もガンガン死んでます。というか主人公がガンガン殺してます!!

女性受けとか萌えとか一切考慮してません!って感じの作風と展開が、管理人的にはたまらなく素敵でした!!

まだまだ粗削りかなと思う部分もありましたが、それを補って余りある勢いと熱量をこの作品からは感じます。

 

ちなみに管理人の持論に「渋い男キャラが活躍するラノベやアニメにほぼ(全部とは言わない)ハズレなし」というのがあるのですが、この作品もその持論から漏れることなく素晴らしい作品であると言いたい!!

 

 

異能を金で売買する世界。バトルものの王道である異能を使った斬新な設定

この作品、ラノベのバトルものでは超王道と言える現代異能バトルものに分類われると思いますが、結構設定がひねられていて面白いです。

まず異能についてなんですが、生まれつきの能力とか、魔術みたいに習得するものではなくて、金で売買する商品として扱われています。

要は金と権力を持ってる人間が戦力すらも手にする世界。

さらに異能は低い能力のものでも超高額で、買うのにローンを組むことができるのですが、払えなくなると回収屋に異能を取り立てられるという……

とにかくこの作品の世界観、フィクションなのに妙に生々しくてエグいです

なんとなくバクマンの『この世は金と知恵』を連想しますね。

こういうちょっとひねられた邪道な設定は大好物でした。

 

ただ異能を扱うのには当然適正や訓練も重要で、単純に強い異能を手に入れられれば、そのまま最強というわけではない。

だから世界を牛耳っている異能販売会社は自社に最強の異能部隊を抱えている。

この辺の異能の強さを表すクラスやら適正ランクやら各企業が抱えているランクSの異能力者やらって設定は燃え要素満載でワクワクしますね!!

 

ちょっと邪道ながらも上手く読者のツボを押さえていて、あらすじ読んだだけでも惹きつけられる世界観は見事だと思います。

 

主要登場人物の9割が男キャラという近年ラノベ史上屈指の硬派さ

冒頭述べた通りこの作品、登場人物の9割くらいは男キャラです。しかもBLな方々が喜びそうなイケメン王子様なキャラはほぼ皆無で、渋いおっさんだったり、腹黒そうなおっさんだったり、小物っぽいおっさんだったり……ほぼおっさんです。(えー

男キャラばっかりというより漢キャラばっかりというべきか……。

なんせ主人公のノーマンからしてやたら渋くてクールでダンディなおっさんですからね。いやかっこいいけど。

そんなわけでストーリーもラブコメ的なノリは一切なく、ひたすらバトル・バトル・バトルの連続で、とにかく主人公の戦闘凶っぷりとクールな仕事っぷりを堪能しろ!と言わんばかりのハードな展開が魅力です。

 

主人公の万能超人っぷりとクールな仕事人っぷり、イカれた戦闘凶っぷり

主人公のノーマンについて、著者の三条先生もtwitterなんかで発言されてましたが、とにかく無敵で最強なキャラとして描かれてます。

おまけに頭も切れて、ついでにチェスも強いという万能っぷり。

ノーマン自身もそれを自覚しており、言動や行動にも自信がみなぎってます。

その辺りを読者に自信過剰とかイヤミに感じさせることなく描写する三条先生の文章力は見事だと思いますね。

 

ちなみにこの主人公、敵のボスやら強敵を倒しても一切感慨にふけることなく、回収屋としての仕事を優先するクールっぷりと、自分に歯向かった場合は相手がマフィアだろうと、殺し屋派遣会社だろうと、一銭にもならなかろうと壊滅させるまで徹底的に追い込む戦闘凶っぷりとのギャップも魅力の一つかなと。

 

とにかく最近ではあまり見ないくらいの実力も性格も完璧で超人的な主人公だと思います。

個人的には俺Tueee系の主人公はこれくらい突き抜けているかひょうひょうとしていて、とにかく流されない・ブレないキャラの方が好みですね。

 

アイビスとノーマンの夫婦漫才のような掛け合い

何度も述べたように、この作品は息もつかせぬバトルの連続でとにかくハードな展開が魅力なのですが、そんな中で数少ない女性ヒロイン(AIですが)のアイビスと主人公のノーマンの掛け合いが面白くて、ハードな展開の息抜きとしていい役割を果たしてます。

いや、最初読む前はアイビスのことを有能で唯我独尊な女性上司とかボス的なキャラかと想像していたんですが(空の境界の燈子さんとかみたいな)、いざ読んでみると予想を裏切るポンコツっぷり!!

これはいい意味で期待を裏切られました!

このやたらとうるさく絡んでくるアイビスと、それをさらにやたらと雑に扱う主人公の掛け合い、クールだったり不愛想なキャラばっかりの中でのアイビスの空回りっぷりがとにかくおかしかったです。

 

物語としての完結性

シリーズの1巻についてどうしてついて回る問題として、単巻でのストーリーの完結性というのがあると思います。

あくまで1巻単独で読んでも読後にモヤモヤが残らないだけの伏線回収とストーリーが完結されているかっていうのは、管理人はこの部分結構重要視していて、読後感がどうであるかに大きく影響してくる部分でもあります。

その点、この作品はシリーズもののとして今後展開を広げられる要素をにおわせつつ、大枠の所ではストーリーをきっちりと完結させており、主人公の暴れた後のようにもやもやの残らない爽快な読後感でした

 

 

総評として、話の展開はしっかりとまとまっていつつひねりも効いており、キャラもしっかりと立っていて、全体的にレベルが高いという印象。

あと評価が分かれそうなのは華が少ない点ですが、作品の魅力とも言えるハードボイルドな世界観との両立を次巻以降期待したいですね。

さんざん男キャラが活躍する作風を褒めておいてあれですが、やっぱ華はほしいです。

せめてアイビスが生身だったら……(えー

管理人の嗜好は置いておいて、シリアスともコメディとも違う、まるでアメリカ映画でありそうなハードボイルドな作風がツボにはまる方にはぜひ読んでいただきたい作品でした。

 

超余談ですが、なんとなく若かりし頃のシュワちゃん主演で映画化とかしたら似合いそうとか思ったり……

 

 

<個人的名言・名シーン>

「ふふん、私の適応能力を甘く見てもらっちゃ困るのですよ。マフィアが何ぼのもんじゃいなので――」

「待てやコラァ!」

すがすがしい空気を引き裂いて、通りに怒声が響いた。

「ひぃ!なめた口きいてすいませんでしたなのです!」

by アイビス

 

「お前ら、人質ごっこの次は戦争ごっこをやらないか?」

by ノーマン

 

 

 

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