『この世界にiをこめて』 おすすめライトノベル(ラノベ) 感想

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『この世界に i をこめて』 感想

 

この世界に i をこめて (メディアワークス文庫)

佐野 徹夜 (著), loundraw(イラスト)

 

――小説を愛してる、すべての人に

 

生きづらさを抱え、退屈な高校生活を送る僕に、ある日届いた1通のメール。
【現実に期待なんかしてるから駄目なんだよ】
でも、それは届くはずのないメール。送り主は吉野紫苑。彼女は、屈折した僕の唯一の女友達で、半年前に死んでしまった天才作家だった。
あり得ないはずのメールのやりとりから、僕は失った時間を取り戻していく。やがて、遺された吉野の最後の言葉に辿り着いた時、そこには衝撃の結末が待っていた――。

 

「僕たちの人生を大きく変えうる力をこの小説は持っている」
loundrawも大推薦。愛と再生の感動ラブストーリー。

 

 

八真八 真のおすすめ度・・・★★★★★★★★★ 9/10

 

感想

ラノベの新刊に加えて、西加奈子先生や伊坂幸太郎先生やらの新作がようやく文庫化されたおかげで、読みたい新刊の量と読書に割ける時間と読書スピードのバランスが壊滅的です・・・・・・

 

そんな詰んでる状況の中、これは発売されたら真っ先に読もうと決めていた、第23回電撃小説大賞《大賞》を受賞した『君は月夜に光り輝く』が20万部越えの大ヒットとなっている佐野 徹夜先生の新刊、『この世界に i をこめて 』の感想です。

 

管理人の『君は月夜に光り輝く』感想

 

総評としては、前作に通じる作品の雰囲気をしっかりと持ちながら、前作とはまた違ったアプローチで、でも前作同様作品の世界に引き込まれるような魅力ある物語でした。

『君は月夜君に光り輝く』が万人におすすめしたい感動作だとすると、今回の作品はハマッたらヤバい、とにかく一度読んでみてほしい作品といった印象でしょうか。

とか、冷静に語ってますが、僕は読み終わった後しばらく放心していたほどガッツリこの物語に引き込まれました!!

本音を言うと、休みの前日の夜とかに読むべきだった!それぐらい読後の余韻がハンパなかったです!!

 

 小説を愛するすべての人に捧ぐ、「愛」と「小説」についての物語

前作の『君は月夜に光り輝く』が剛速球とも言えるようなストレートなラブストーリーだとすると、『この世界に i をこめて 』は”超”高速スライダーとも言える、ラブストーリーとしては少し異質な感のある物語。

あらすじでも「ラブストーリー」と書いてますが、「恋愛」ではなく「愛」についての物語と言った印象。

なにより、巻頭に書かれている通り、「小説を愛してる、すべての人に」捧ぐ物語――というのが一番しっくりきますね。

この辺りが万人におすすめというより、ハマったらヤバい作品と前述させてもらった理由ですね。

僕個人としては、純粋なラブストーリーは少し照れちゃう部分があるので、こういう話の方が性に合ってたりします。

だからこそ純粋に面白かった!!

 

ストーリーの概略としては、かって小説が大好きで、自身も小説書きだった主人公の染井浩平は、同じく小説が大好きで天才とも言える作家だった女友達の吉野紫苑の死をきっかけに、小説を読むのも書くのもやめてしまう。彼女の死後、世界そのものに退屈を感じてしまっていた主人公は現実逃避の手段のようなものとして、吉野がいなくなった後も彼女に向けて何気ない日常のメールを送り続けていました。ただある日、あり得るはずのない彼女からの返信が届いて……といった感じで、少しファンタジー的な要素を感じる展開となっています。ただこの作品のテーマはその部分ではなく、死んだはずの吉野からメールが届いたわけについても物語中盤で明かされることになり、むしろその先にあるものこそが本題といったところ。あくまでこれは「愛」と「小説」についての物語であると。

 

『君は月夜に光り輝く』でも思ったんですが、佐野先生はちょっとファンタジー的な部分を、メインではなく物語の一つの要素として使うのがすごく上手いですね。

読み手に非日常を感じさせて現実から物語の世界に引き込みながらもリアリティのあるストーリーに感じるのはこういう部分のバランスが見事だからというのも一つの要因かと。

 

本当に主人公が語っているんじゃないかと錯覚してしまうような、不思議な魅力の文体

この作品のもう一つ素晴らしいのが、物語への没入感のすごさではないでしょうか。

一度読み恥じ始めたら、読む手を止めずに最後まで一気に読ませてしまう力と、読み終わった後に作品の世界から現実に戻って来てしまったと感じさせるような、圧倒的な読後感があります。

多分その要因は作者の文章力、というか文体にあるかなと。

 

『は月夜君に光り輝く』もそうだったんですけど、シンプルで読みやすいのに、何とも言えない虚無感を抱えつつ、とうとう語らえる独特のリズム、達観しているようでどこか青さを感じる語り口調が高校生の主人公の一人称とマッチして、作品全体の世界観となっているように感じます。この文体の特徴がまるで本当に主人公が自分の人生・青春を語っているような、実際に作品の世界の中から主人公の物語を、読むのではなく見ているような、圧倒的な没入感を生んでいるのではないかなと。

 

正直、佐野先生の一番の魅力はこの文体じゃないかなと思いますね。それぐらい単純に文章が素晴らしいので、物語どうこう抜きにしても、やっぱり一度読んでみてほしいです。

 

 

<個人的名言・名シーン>

「小説、書いてますか」

「書いてません」

 一発、殴ってやろうと思った。

by ??? & 染井

 

「私は本当に、つまらない人生。将来見えてる。どこで何してもしょうがない。わかって。本気出せない人生なんだ。知ってる?そういう人がいること」

「私の分まで、本気出してよ」

 声が震えていた。

 よく見る。

 目に、涙が滲んでいるのが見えた。

「本気出して」

by ???

 

 少し怖くなって祈る

 僕の信じる僕の才能が消えていませんように。

 どうか。

 僕の生きる意味が、まだ残っていますように。

by 染井

 

 

 

 

 

 

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